家のモバイルバッテリーから異音、その状態が「怖すぎる」と話題 専門家に「異常の兆候」聞いた

室内から「バリバリ」という異音が聞こえ、モバイルバッテリーを見たらその形状に驚き。有識者は「内部でガスが発生している異常のサイン」と、注意を喚起する。

2026/11/04 10:45

奇妙な匂いや奇妙な音など、日常生活でちょっとした違和感を覚えたケースはないだろうか。時には、こうした小さな違和感が大きな事故を引き起こすケースも珍しくない。

以前X上では、自宅内から聞こえた異音の「予想外すぎる正体」に、驚きの声が相次いでいたのだ。


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■室内から異音、その正体は…

今回注目したいのは、岩手県で自動車やバイクなど、大好きな乗り物たちを過ごすライフスタイルを発信している「きくしんちゃんねる」Xアカウントが投稿したポスト。

きくしんちゃんねるでは日頃、乗り物や機械を中心としたDIYや旅行などを動画にし、投稿している。しかし今回話題となった投稿は、何やら事情が異なるようだ。

膨らんだモバイルバッテリー
画像提供:きくしんちゃんねる

「部屋の中からバリバリと音がしたので見てみたら、モバイルバッテリーが割れて中身が出てきた」という書き出しから始まるポストには、パンパンに膨れ、本体をこじ開けて露出したモバイルバッテリー内部の写真が添えられている。

当該のポスト本文は「とりあえず外に出したけど、これどうすれば良いの?? 進化の途中?? 羽化する?」と、戸惑いの言葉が続いていた。

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■発見者は「ネズミの音かと思った」

ひと目で「異常事態」と理解できるモバイルバッテリーの様子は瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「怖すぎる…」「これは危険ですね」など、驚きの声が多数寄せられていた。

そこで今回は、ポスト投稿主・きくしんちゃんねるに発見時の様子について尋ねてみることに。

すると、当時の様子については「実際に膨らむ瞬間を見ていたワケではないのですが、ネズミが何かいたずらしているのかな? というくらいの音で、その時は気にしてはいなかったのですが、後でモバイルバッテリーを見たら膨らんでいたので『この音だったか!』と思いました」との回答が得られた。

なお、当該モバイルバッテリーの使用期間は2〜3年ほどで、使用頻度は月に数回(旅行や出張の際に使用)とのこと。

異変が見られる以前の状態については「数週間前から調子が悪く、満充電したはずなのにスマホに電気を送れない時があったり、数十%残量があるところからいきなり0%になることもありました」と、振り返っていた。

モバイルバッテリー処分
画像提供:きくしんちゃんねる

モバイルバッテリーのその後については、市のホームページを確認したところ「市の清掃センターへ持ち込めば処分できる」という案内を発見したため、こちらの手順に沿って処分したという。

パンパンに膨らんだモバイルバッテリーを見ての感想については「身近な物だったので驚きましたし、管理保管は気をつけなければならないと感じました。外出や出張のお供で各地を共に旅した相棒なので、処分するのは少し寂しい気持ちになりました」とコメントしている。

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■専門家にモバイルバッテリーの「危険」サイン聞いた

モバイルバッテリーの異変を、いち早く察知する方法はないのだろうか。続いては、今回見られた現象の詳細について、独立行政法人「製品評価技術基盤機構」(以下、NITE)に話を聞いてみることに。

NITEは、前出のきくしんちゃんねるからの回答に触れ、「満充電したはずなのにスマートフォンへ給電できない、残量が数十%ある表示にもかかわらず突然0%になる、といった症状は、リチウムイオン電池の異常や劣化のサインの一つである可能性があります」と、頷く。

続いて、一般的なリチウムイオン電池の異常として、「充電できない」「不意に電源が切れる、急に充電残量がなくなる」「充電中に以前よりも異常に熱くなる」「膨らんで変形している」「焦げたにおいや化学薬品のようなにおいがする」「落下や衝撃により変形や破損が生じている」といった症状を挙げていた。

きくしんちゃんねるのモバイルバッテリーに見られた症状は、この中の「充電できない」「急に充電残量がなくなる」に該当する可能性があり、これらは、電池の劣化や内部の損傷などにより、「本来蓄えられている電気を正常に取り出せなくなっている」状態で発生するケースがあるという。

そうした背景を踏まえ、NITEは「このような症状が見られたからといって直ちに発火や爆発に至るとは限りませんが、電池の異常の兆候である可能性は否定できないため、こういった異常が発生した場合は使用を中止してください」と、呼びかけていた。

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■「膨張していなくても危険」と注意

モバイルバッテリーから発火
画像提供:製品評価技術基盤機構(NITE)

発火事故の報道などにより、モバイルバッテリーに発火・爆発のリスクがあることを多くの人が認識していることと思われる。しかし、モバイルバッテリーについて「膨張したら危険のサイン」と考えている人がいたら、考えを改めてほしい。

NITEは「電池の膨張は、内部でガスが発生していることを示す比較的分かりやすい異常のサインですが、発火や爆発の恐れは膨張した場合に限られるものではありません」とも注意喚起しているのだ。

その理由については「まず、モバイルバッテリーで使用されるリチウムイオン電池としては、大きく分けてアルミラミネート(パウチ)のタイプと、乾電池のような円筒形の缶のタイプがありますが、円筒形の缶のタイプは金属の缶であるため膨張しにくく、モバイルバッテリーの外観から膨張を確認することは難しいです」と、説明している。

リチウムイオン電池は経年劣化、高温環境での使用・保管、衝撃による内部損傷、製品自体の製造不良などにより、内部短絡や電解液の分解等、電池内部で不具合が起こり得る。

例えば、強い衝撃や製造上の不具合、経年劣化などにより内部の絶縁膜(セパレータ)が損傷し、正極と負極が接触して内部短絡に至ることが考えられる。

他にも、使用条件や劣化の状況によっては負極表面に金属リチウムが析出し、これが針状に成長してセパレータを貫通し、やはり内部短絡を引き起こすことがあるのだ。

NITEはこうした例を挙げつつ、「このような内部短絡や電解液の分解が進行していても、必ずしも外観上の膨張が先行して現れるとは限らず、膨張が確認できない段階でも発煙・発火に至る可能性があります。また、内部短絡が急激に発生した場合には、膨張が確認される前、または膨張とほぼ同時に発煙・発火に至ることもあります」と、説明する。

こうした実情を踏まえ、「そのため『膨張していないから安全』と判断はできません。膨張の有無にかかわらず、異常発熱、充電不良、急激な残量低下、異臭、落下後の変形などの異常が認められる場合には、使用を中止し、販売店や製造・輸入事業者にご相談ください」と、注意を呼びかけていた。

モバイルバッテリーの膨張が「危険」のサインであることには間違いないが、実際には危険のサインはもっと以前より発せられている可能性が高い。このサインを見逃すことがないよう、改めて注意を喚起したい。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)

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