よしもと芸人たちが選ぶ“いま読みたい推し本”4選 「これ新しいなと思って」
野沢直子、ピストジャム、バイク川崎バイク、西木ファビアン勇貫が、それぞれこの夏におすすめしたい一冊を紹介した。
■野沢直子イチオシ『爆弾犯の娘』
お笑いタレントの野沢直子が紹介したのは、脚本家・梶原阿貴の自伝的著書『爆弾犯の娘』。爆弾事件を起こして長く身を隠していた父との幼少期など、自身の複雑な生い立ちをつづった一冊だ。
野沢が特に心をつかまれたのは、あとがきにある「どんな環境に生まれても努力次第で人生は切り開けるということでは断じてありません」という言葉。
これを紹介すると、周囲からは「ないんかい?」とツッコミが。続けて、うまくいかないことを何でも自分だけのせいにせず、時には親や他人、社会のせいにして生きてもいいという趣旨の言葉を紹介し、「この一言がすごい好きなんですよ」と力を込めた。
さまざまな出来事を経験しながらも明るく描かれていることにも惹かれたようで、「自分が悪いと思わないで、人のせいにして楽しく生きていこうっていうのは、とってもいい考え方」と推していた。
■『陽の光が消えた町で』
ピン芸人・ピストジャムが選んだのは、ナオミ・クリッツァーの短編集『陽の光が消えた町で』。2026年5月に早川書房から刊行された、日本オリジナル編集の短編集だ。
ピストジャムは、SFと聞いて連想しやすい宇宙などの壮大な世界ではなく、「日常生活の、少し不思議」のような感覚で楽しめるところが魅力だと説明。
表題作では、大災害によって電気やインターネットなどが使えなくなった町で、住民たちが掲示板を作り、必要な物や技術を持ち寄りながら助け合っていく。ピストジャムは細かな筋立てよりも、その身近な世界に少しだけ不思議が入り込む感覚を気に入ったようだ。
日本昔話にもSF的な面白さを感じるという自身の感覚とも重なり、「今回これ読んだ時に『これは読む絵本だな』と思ったんですよ」と表現。「この話楽しい、この話不思議だな、なんかこの世界行ってみたい」と思える一冊として勧めた。
■『一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集』
バイク川崎バイクは、澤村伊智の『一寸先の闇 澤村伊智怪談掌編集』を推薦。21編を収めたホラーのショートショート集で、「読みやすっ、オチおもろっ、怖っ!」と、その魅力をテンポよく表現した。
怖さの見せ方も作品によってさまざまで、日記や手記のような文章だけでなく、「保護者各位」と題した学校からのプリントだけで構成される作品もあるという。文面や日付を追っていくうちに恐怖が浮かび上がってくる仕掛けに、「これ新しいなと思って」と感心した。
特に印象に残ったという「さきのばし」は、何でも先延ばしにしてしまう人物を描いた一編。途中には笑えるやり取りもありながら、その先には怖い結末が待っているという。
BKBは「絶対文字しかないはずやのに『うわっ』て」と、小説なのに視覚的な怖さまで感じることに驚きつつ、「おもろいけど怖いです」と魅力をまとめた。
■『パーマネント神喜劇』
西木ファビアン勇貫が紹介したのは、万城目学の『パーマネント神喜劇』。神様を主人公にした4編からなる連作短編集で、タイトルの“神喜劇”に惹かれて手に取ったという。
登場するのは、神社に1000年勤めながら、神様の世界ではまだまだ下っ端という神様。出世したい気持ちを抱えながら人間の願いに向き合う、どこか俗っぽいキャラクターが描かれている。
ファビアンは「僕が見てきた中で、1番親しみやすい神様」と評し、神様同士の人事や出世まで描かれる世界観に夢中になった様子。
神様なのに待遇や評価を気にする姿を見ながら、「いやもう人間やん、どこが神様やねん」とツッコミつつ楽しめたといい、人間臭い神様を描いたコメディとして推していた。
■執筆者プロフィール
びやじま。フリーライター/エディター。月100時間、30番組を聴く深夜ラジオのヘビーリスナーで、2016年からSirabeeに参画。現在はラジオを中心にした芸能エンタメを中心に月40本程度を執筆中。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)





