アラビックヤマトの会社「ヤマト」は漢字でどう書く? メーカーが明かす「2つの正解」にグッと来た

『アラビックヤマト』や『ヤマト糊』の「ヤマト」漢字表記には「大和」と、もう一つの表記があると判明。「ヤマト」に込めた思いをメーカーに聞いた。

2026/08/10 11:00

『アラビックヤマト』
Photo:秋山はじめ/Sirabee編集部

夏休みと言えば、自由研究に自由工作。液状のりやセロハンテープが大活躍する時期である。

読者諸君は、そんな日本の液状のりを代表する『アラビックヤマト』の「ヤマト」の漢字表記をご存知だろうか。


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■「ヤマト」と聞いてまず思い浮かぶ漢字は…

ヤマト本社
画像提供:ヤマト

「大和政権」や「戦艦大和」に代表されるように、多くの日本人は「ヤマト」と聞けば「大和」の2文字を連想することだろう。そこで今回はまず、『アラビックヤマト』を製造・販売するヤマト株式会社に話を聞いてみることに。

「ヤマト糊」本舗(創業当時)
画像提供:ヤマト

同社の創業は1899(明治32)年。その歴史について、ヤマト担当者は「当時、薪炭商を営む木内弥吉(ヤマトの創業者)は、袋貼りの糊が腐ることに困っていました。そこで有識者を集め、防腐剤を使って腐らない糊を開発しました。刺激臭を消すため香料を入れ、良い香りがして腐らない、保存がきく糊『ヤマト糊』を開発し、さらに『計り売りで買うか、自分で糊を作る』という時代に瓶容器に入れ、小分けの『ヤマト糊』を販売しました」と、説明する。

ガラス壜入り『ヤマト糊』(明治32〜昭和25年)
画像提供:ヤマト

ちなみに、こうした「保存のきく糊」を瓶に入れて発売したのは、『ヤマト糊』が日本初だという。

ガラス壜入り『ヤマト糊』(昭和25〜35年)
画像提供:ヤマト

この『ヤマト糊』命名の経緯について、担当者は「創業者の思いが商品名『ヤマト糊』に込められており、『日本一の糊にしたい』『商売が大当たりしますように』という願いから、『矢が的に当たる→矢的→ヤマト』といたしました。これは、日本の旧国名(大和)にもかけられています。」と、語っている。

木内弥吉商店(昭和初期)
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なお当時、社名・商標に片仮名を採用するのは画期的な出来事だったようで、当時の人々からはハイカラな糊として映っていたことだろう。

その後、「木内弥吉商店」ののれんを呉服繊維商「長谷甚商店」(長谷川家)が引き継ぎ(M&A)、シェアを拡大。

現行の『ヤマト糊』
画像提供:ヤマト

同社は明治・大正・昭和・平成と様々な時代の苦境も乗り越え、『ヤマト糊』とその後輩『アラビックヤマト』は、令和の現在も多くのユーザーに愛されるロングセラー商品の座を確立している。

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■「戦争」という逆境を糧に開発されたのは…

多くの企業は長い歴史の中で様々なターニングポイントを経験しており、もちろんヤマトも例外ではない。なんと、戦時下では食料の原料となる「でんぷん」が全て統制となり、糊の原料の確保が困難になったのだ。

メーカーとしてあまりに致命的な事態を受け、やむ無くヒガン花やダリヤの球根からでんぷんを抽出し、糊の原料とした時期もあったという。しかし、それがきっかけで全く発想を変え、加熱をせずに化学処理で作るでんぷん糊の製法を開発。

『ヤマトゴム糊』(昭和25〜43年)
画像提供:ヤマト

ヤマトの担当者は「これは後に『冷糊法』として、1950(昭和25)年には製法特許も取得し、普及の要となりました。現在もこの製法で製造しています」と、語っている。

『アラビックヤマト』初期パンフレット
画像提供:ヤマト

ちなみに、液状のり『アラビックヤマト』が発売されたのは、1975(昭和50)年。名前の「アラビック」は「アラビアのり」が由来になっているという。

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■8割の人が「大和」と回答

なお今回の取材に先駆け、Sirabee編集部では全国の10~60代の男女706名を対象としたアンケートにて、『ヤマト』の漢字表記に関する調査を実施している。

『アラビックヤマト』の漢字表示グラフ

その結果、全体の79.5%が「大和」と回答。「矢的」回答は20.5%であった。

断っておくと、同社名は「矢的」をルーツとしているが、「大和」にもかかっているため、言わばこの2択問題は「どちらも正解」である。回答者諸君に意地悪な質問となってしまい恐縮だが他意はなく、あくまで「どのように回答が分かれるか」を確認するためのアンケートであったことをご理解頂きたい。

ヤマトの担当者も「両方正解なので、なかなか複雑な気持ちですが、これを機に覚えて頂けるとと嬉しいです」と、笑顔を見せる。

同社としても、やはり「旧国名の『大和』に軍配が上がるだろう」と推測していたものの、120年以上の歴史を持つ社名に関する意識調査の結果を数字で見て、新鮮に感じたようだ。

現行の『ヤマト糊』
画像提供:ヤマト

担当者からは「おかげ様で当時の商売が当たり、長い歴史の中で様々な苦難も乗り越え、『ヤマト糊』は127年続くロングセラー商品となりました。これからも、『ヤマト糊』『アラビックヤマト』等のステイショナリーをはじめ、接着の持つ限りない可能性を、創造的な商品に変えてお届けできるよう、努めて参りたいと思います」というコメントも得られている。

画像提供:ヤマト

ちなみに『アラビックヤマト』の容器には矢が的に当たる「ヤマト」(矢的)のマークが隠れているため、これまで見落としていた人はぜひ探してみてほしい。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ
調査期間:2026年6月12日~6月16日
対象:全国10代~60代男女706名(有効回答数)
グラフの割合は数点以下第2位を切り捨てているため、合計しても必ずしも100とはならない。

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