熊本イオンモール報道で“流れた映像”に… 元消防士が切実に訴え「すごい違和感」「映したらあかん」
「イオンモール熊本」の爆発事故をめぐる報道への“違和感”を元消防士が訴えた。SNSでも困惑や批判の声があがっている。

元消防士の“タイチョー”こと兼平豪氏が29日、公式YouTubeチャンネル『【消防防災】RESCUE HOUSE レスキューハウス』を更新。
28日に発生した「イオンモール熊本」の爆発事故に際し、報道で流された“映像”への違和感を訴えた。
【今回の動画】報道で流れた映像への“違和感”
■イオンモール2階部分が崩落
28日午後4時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生。震源の深さは約10キロ、マグニチュードは7.1と推定される。この地震で熊本県宇城市と氷川町で震度7を観測したほか、九州から西日本の広い範囲で震度6強から震度1の揺れを観測した。
地震から約1時間半後の同午後5時50分ごろ、同県嘉島町の「イオンモール熊本」でガス漏れが原因とみられる爆発が発生。2階部分が崩落した。
30日午前7時半の時点で、11人が救助されたが、5人が死亡、1人が心肺停止状態と伝えられ、同日も救助作業が続けられている。
■「どうしても許されへん」怒り吐露
兼平氏は、爆発について伝える報道に関して「1つだけ、どうしても許されへんことがあって…」と切り出す。「上空のマスコミのヘリの映像を見ましたか? あれ何が起こっていたかというと、建物の今の状況が映っています。プラスアルファ、消防の活動の様子が映っていた。どういう活動をしていたかというと、トリアージやねんな」と話す。
「トリアージ」は、多数の負傷者などが発生した大規模災害や大事故の現場で、負傷者の緊急度や重症度に応じて4段階に分類し、救命の順序を決めるもの。
「緑」は今すぐの処置や搬送の必要がない場合、「黄」は基本的に状態が安定しているものの、早期に処置が必要な場合、「赤」は命にかかわる重篤な状態で、一刻も早い処置が必要な場合、「黒」はすでに死亡、または救命困難とされた場合となっている。
2005年のJR福知山線脱線事故などでもトリアージが実施されたことが知られている。
■「映したらあかん現場」
兼平氏は、トリアージを「命の選別」と表現。「トリアージの現場が映っていたわけよ。赤のシートの上に人がいたのかどうか、じゃなくて、トリアージの現場を設定されているってところは、映していいんかなってすごい感じたことがあって」と話す。
「大阪の北新地のビル火災…多くの方が命を奪われた。あそこもトリアージの現場が(カメラで)映されていて。これって本当に命がかかわっている選別って、本来はたぶん、映したらあかん現場やねんな。だからこういったところはすごい違和感があって。やめてほしいなっていうのが僕の願い」と語った。
「北新地のビル火災」は、2021年12月に発生した「北新地ビル放火殺人事件」で、精神科や心療内科を専門とするクリニックの通院患者が放火。クリニックスタッフや患者ら26人が死亡し、放火した患者も死亡した。
この事件の際、マスコミによるビルの空撮にトリアージの現場が映っており、多くの批判が寄せられ、一部メディアが写真を差し替える事態となっていた。
■「忍びない」「報道より…」怒りや困惑の声
今回の爆発事故の報道についても、Xでは「トリアージを空撮してたの…? それはどうなんだ…」「トリアージで怪我した方などが映されるのは忍びないので空撮は気を遣ってくださると良いな」「空撮したりヘリを飛ばすのは救助の邪魔、報道より人命が優先やろ」と困惑や怒りの声があがった。
また、空撮のヘリについて、「閉じ込められた被災者の声がヘリの轟音でかき消されてる」「助けてという声が聞こえない。とにかく現場では命がかかってる」といった批判も。
「能登でも東北でもずっと言われてきたことです。視聴者が怒らないとやめさせられません。助かる命も助からなくなる。お願いだから、空撮をやめて」と訴える人もみられた。
もちろん、被害状況を伝えることの意義もあるが、やはり災害の現場は人命救助が最優先だ。災害の多い日本において、発災直後の報道のあり方については今一度、議論が必要かもしれない。
■執筆者プロフィール
しばたけろこ:フリーライター。関西のスポーツ紙や芸能情報サイトでの記事執筆を経て2021年よりSirabeeに参加。
現在はSNSを中心としたエンタメ記事のほか、ライフハック、時事ニュースなど月90本程度を執筆中。




