高市首相の「こんじょう陛下」は本当に不敬な誤読なのか 皇室の専門家は「間違いとは断定できない」

高市早苗首相が「今上陛下」を「こんじょう陛下」と読んだことに対し、「失礼では」という疑問の声が続出。一方で、皇室の専門家は「間違いとは断定できない」と指摘する。

2026/03/19 10:55

高市早苗
Photo:sirabee編集部

米現地時間19日より、ドナルド・トランプ大統領との首脳会談に臨む高市早苗首相。

現在ネット上では会談の是非と併せ、高市首相の「誤読」に対し、様々な意見が上がっている。


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■「今上陛下」を「こんじょう陛下」と読む

16日に行われた参議院予算委員会で、高市首相は「今上陛下」を「こんじょう陛下」と読み上げるも、直ちに「きんじょう陛下」と訂正。そのまま答弁を続けている。

こちらの光景を受け、様々なネットユーザーや団体から「首相が『今上』も読めないのか」「この誤読は失礼」「日本人としてあり得ないと思います」といった疑問の声が相次いだ。

一方で「その後ですぐ訂正してますよね」「読み間違いというミスをしたことがない人は、存在しないと思う」など、高市首相を擁護する声も多く上がっている。

また「『こんじょう』という読み方も間違ってないのでは」という意見も少なからず確認できた。そこで今回は、皇室に関する有識者に「今上陛下」の読み方について話を聞いてみることに。

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■皇室の専門家「全くの誤読とは断定できない」

まずは宮内庁に見解を聞いてみたところ、担当者からは「『今上陛下』の読み方に対する取り決め等は宮内庁では行っておらず、知見も持ち合わせていない」との回答が得られた。

そこで続いては、神道学者にして皇室研究者の高森明勅(あきのり)氏に、知見を尋ねてみる。

記者からの質問に対し、高森氏は「『今上』の訓み方については、もちろん『きんじょう』が一般的です」と、頷いてみせる。その上で、「『こんじょう』読みが全く間違いとは断定できません」と、回答。

その根拠については、「例えば『日本国語大辞典』(第6巻)は、『きんじょう』で立項する一方で『こんじょう』との読み方も併記しています。手元の『広辞苑(第5版)』でも『きんじょう』で立項していますが、『コンジョウとも』と注記しています」と、指摘している。

加えて、高森氏は「今上」の出典のひとつとして知られる『平家物語』にも注目。

「いくつか確認したところ、元和9(1623)年刊行の附訓本を底本とする、高橋貞一氏が校注したものでは、今上に『こんじょう』とのルビを振っています」と説明していた。


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■「絶対に読み間違えない」保証はない

高森氏も強調していたように、「きんじょう」という読み方が一般的であることは間違いない。しかし、前出の分析を考慮すると「こんじょう」という読み方が「完全に誤りである」と断定するのは、難しいと言えるだろう。

繰り返しになるが、高市首相は「こんじょう陛下」と読み上げた直後に「きんじょう陛下」と訂正している。つまり、決して「きんじょう」という読み方そのものを知らなかった、というワケではないのだ。

皇室に関する話題ともなれば、敏感に反応したくなる気持ちも理解はできる。しかし、たとえ読み方を知っている単語であれど「いつ如何なる時、どんな場所でも、絶対に読み間違えない」という保証は、高市首相を批判する人々を含む誰しも持ち得ないはずだ。


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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