狂犬病注射で話題、とやまソフトセンターが動画制作の舞台裏明かす 取材につけた「たった1つの条件」が最高すぎる
予防接種に赴く犬と飼い主のリアルな姿を映した動画シリーズが「微笑ましすぎる」と話題に。制作会社・とやまソフトセンターは反響に感謝しつつも「動画の切り抜きはやめて」と呼びかける。
■本来は取材NGの同社、譲れない条件あった
当然ネット上でこれだけ話題になれば、Webメディアも黙ってはいない。多くのメディアから同社に、取材の依頼が打診された。Sirabee編集部もそのひとつ。
しかしここでも、とやまソフトセンターはその姿勢を崩さない。「たとえ取材でも、犬や飼い主の写った画像は提供しない」という姿勢を貫いたのである。
この条件で取材を断念したメディアもいるようだが、Sirabee編集部は同社の考えに同調。「記事内では注射シーンの画像を一切使用しない」という条件のもと、特別に取材を受け入れてもらったのだ(過去には「飼い主さんの許諾」という点にまだ意識が及んでおらず、数社からの取材依頼に対して画像を提供した実例あり)。
「ドタバタ劇」シリーズが制作された経緯について、とやまソフトセンターの担当者は「狂犬病予防注射は市町村が中心となって行われていることから、その接種率を向上させるために『告知や接種の様子を撮影して狂犬病予防注射の大切さを啓蒙してほしい』と、毎年依頼されていま
した」と、振り返る。
同社が「ドタバタ劇」シリーズに本格的に着手し始めたのは、2022年度のこと。
「年に一度の狂犬病予防注射は法律に定められている飼い主の義務です!」「狂犬病は発症したら 100%死に至る恐ろしい病気です!」と声高に訴えるのもひとつの方法ではあるが、同社は「楽しんで視聴できる内容にしたほうが伝播しやすい」と考える。「北風と太陽」のような、発想の転換と言えるだろう。
同シリーズにコンセプトについて、担当者は「犬と共に暮らすには、年に一度の狂犬病予防注射という飼い主の義務を果たさなくてはいけませ
ん。しかし犬にはその事情を理解できるはずもなく、時に波乱となります。犬と飼い主の思いが交錯する集合注射会場は、笑いとペーソス(哀愁)に満ちています」と語る。
そうした市井の人々(犬々)の日常のドラマを収めたのが、「ドタバタ劇」シリーズなのだ。
■素晴らしい動画には誠意ある試聴を
今回、大きな話題となった件について、担当者は「Xにポストされた多くのコメントは非常に嬉しいもので、これまで YouTubeで公開してきた動画にも、毎回多くの温かいコメントが寄せられています。お褒め頂いたコメントに関しては『本当ですか! ありがとうございます!」と言うしかございません」と、感謝を滲ませる。
また、動画の切り抜き投稿についても「私たちは映像制作会社ですので、映像パッケージは財産であります。発表した全ての動画の著作権を有します。しかし今回最も避けなければならないことは、切り抜き動画の拡散で、飼い主さんたちが謂れない誹謗中傷を受けることです。『著作権に抵触するので』という1文を加えるよりも、『飼い主さんを傷つける可能性があることをしないでほしい』の一点のみを訴えました。飼い主さんたちのご協力がないと『ドタバタ劇』シリーズは成立しませんし、そんな人々を悲しませてはいけない、と肝に命じています」とのコメントを寄せてくれた。
全ての犬、そして飼い主に対する敬意で作られている一連の「ドタバタ劇」シリーズ。視聴者もそうした敬意を忘れず、決して動画の切り抜きや、誹謗中傷など行わないよう、肝に銘じたい。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。元保護犬のダックスフンドと暮らしていて、犬が大好き。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)




