実は来年3月まで使える紙の保険証、政府は「国民に周知しない」 医療関係者は「周知すべき」とブチギレ
暫定装置として、実は26年3月末まで使用できる紙の保険証。しかし政府は国民に周知せず、医療関係者からは疑問の声が上がっている。
冬は風邪の季節。多くの人にとって、この時期が年間で最も病院に通う時期だろう。
そんな時期、紙の保険証をめぐる政府の杜撰(ずさん)な対応に、医療関係者から疑問の声が上がっているのだ。
■12月2日から使えなくなる…はずが?

従来の健康保険証(紙の保険証)の有効期限は、最長でも2025年12月1日で満了を迎える。つまり、明日から紙の保険証は使用できなくなり、マイナ保険証にシフトしていく。
また、マイナ保険証に移行していない人物への措置として「資格確認書」が交付されており、こちらの有効期限は最大で5年間。
保険証の移行に伴い、現状様々な措置がなされてはいるが、じつは「紙の保険証はまだ使える」という事実をご存知だろうか。
■政府は「来年3月末までの暫定的な対応」
11月12日、厚生労働省は全国の医療・薬局協会に「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について」という業務連絡を通知。
その中で、12月2日以降、期限切れに気がつかずに健康保険証を引き続き持参してしまった患者や、保険者から通知された「資格情報のお知らせ」のみを持参した患者については、暫定的に紙の保険証の使用を認める旨が伝えられた。
なお、これらは2026年3月末までの暫定的な対応であり、厚労省は「次回以降の受診時にはマイナ保険証か資格確認書を必ず持参いただくよう呼びかけて下さい」と、念を押している。
■医療関係者は「全国民に周知すべき」と疑念
しかし前出の通り、こちらは医療関係者のみに周知された内容。厚生労働省公式サイトのマイナ保険証に関するページを確認しても、「紙の保険証は来年3月まで使える」などということは、どこにも書いていないのだ(11月28日時点)。
加えて、厚生労働省はこちらの暫定対応の詳細を「(被保険者に)呼びかけてください」と、医療関係者に通知している。つまり政府の想定としては、我われ国民は実際に医療窓口に足を運ばない限り、こちらの事実に気付けないのだ。
そのため「体調は悪いが、マイナ保険証に切り替えていないし、全額負担になるのは嫌だ」といった理由から医療機関への通院を渋り、体調を悪化させてしまう人物も当然出てくるだろう。
一連の通知方法には医療関係者も疑問を感じており、全国保険医団体連合会は「全国民の権利に関わる重要な話ですが、厚労省は、『被保険者である国民には周知する予定はない』としており、医療機関向けの周知にとどめています。しかも、健保組合から被保険者に周知すべきかとの照会に対して『聞かれたら回答すればよい』と説明しているそうです。周知不足やトラブル防止のために対応した暫定措置であるならば、政府として責任を持って全国民、全被保険者に周知すべきです」と、疑問を呈している。
果たして、政府はこうした意見をどう受け止めているのだろうか。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所に太いパイプを持つ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)




