「忘れてしまったものは…」 音楽の巨匠ミシェル・ルグランが“伝えた言葉”に考えさせられる「不変」
『シェルブールの雨傘』の作曲で知られる大家のドキュメンタリー『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』が9月19日公開。

200曲以上の映画音楽を手がけ、三度のアカデミー賞にも輝いたミシェル・ルグラン。2019年に亡くなる直前の舞台までをリアルに見つめる『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』が9月19日から公開になります。
息を止める時まで音楽家として生きた典範の姿から、天命を全うすることについて考えてみましょう。
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■アカデミー賞三度受賞の音楽家

ミシェル・ルグランは、1932年、フランスのパリに生まれました。父は作曲家、母は音楽出版社の経営者というまさに音楽一家で育ちます。名門パリ国立高等音楽院で学び、やがて映画音楽家、ジャズピアニストとして活躍。
1964年には、カトリーヌ・ドヌーヴが傘屋の娘を演じたミュージカル映画『シェルブールの雨傘』の音楽を手がけ、アカデミー賞作曲賞と編曲賞にノミネートされました。以降、三度のアカデミー賞を受賞するなど、まさに映画音楽の歴史を変えたといっても過言ではない音楽家です。
■全身が音楽でできている

画面には、若いころから晩年のルグランがあますところなく登場し、フランス出身の音楽家が、映画の聖地ともされるアメリカ・ハリウッドでなぜ成功を収めたか、その秘密がわかる展開になっています。
音楽に向き合うルグランの姿は、「一切の妥協を許さない」というより、まるでルグランそのものが「音楽」から成っている印象を受けます。
もちろん人間なので、ご飯を食べて、寝て、起きてといった生活を送っているはずですが、いつも音楽を食べて、音楽が酸素で、体内から吐き出すのも二酸化炭素ではなく音楽で、細胞そのものが「音楽」でできているんだな、というイメージを持ったのです。
■私たちの中にある不変

それはやはり、結果的にルグラン最後のコンサートになってしまった、2018年12月のパリ公演が、丁寧に映し出されるからでしょう。舞台上のルグランは、その約2ヶ月後にこの世を去るとは思えないほど、情熱的なパフォーマンスを見せているのです。
本作の中で、ルグランは言います。「子供時代は私たちの中にあり不変のものだ。子供が大事に思うものは忘れない。忘れてしまったものは興味がなかったものだ」。
ルグランにとって、「不変」は「音楽」でした。彼は生涯を通じて、まさに音楽で呼吸し、最後の瞬間まで自らの使命を全うしたのです。その最後の舞台は、私たちそれぞれに組み込まれた「不変」を思い出すきっかけになるでしょう。
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『ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家』
9月19日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
公式サイトは<a href=” https://unpfilm.com/legrand/”>こちら</a>!
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(文/Sirabee 編集部・尾藤 もあ)




