ヒグマ出没多数の北海道・知床、路上投棄されたトウモロコシが物議 知床財団に現地の実態を聞いた

北海道・知床横断道路上に投棄されたトウモロコシ。周辺はヒグマの目撃情報が多発しており、「非常に危険」と物議を醸している。

2025/09/10 04:45

■写真を撮るためヒグマに「過度に接近」

北海道・知床
(画像提供:公益財団法人知床財団)

知床財団は知床の自然の本質を見極め、モニターしていく「知る活動」、それらをベースに知床の自然環境を適正に保全・管理していく「守る活動」、そして知床の自然の素晴らしさや、一連に取り組みを社会に発信していく「伝える活動」を行なっていく組織。

そんな知床財団の事務局長・玉置創司氏は、写真に写ったエリアの様子について「8月22日18時から、知床峠頂上の駐車帯を閉鎖しています(その後、9月5日に制限解除)。ハイマツの実を捕食するヒグマ0歳2頭連れが3組、計9頭が同時に出没し、人の目を気にしない、人を避けない個体が駐車帯より数メートルの地点にいたことが、その理由です」と、説明している。

そして、駐車帯閉鎖から1週間が経過した8月30日13:15分ごろ、知床横断道路羅臼側の2の沢付近道路上にて、不法投棄された当該のトウモロコシを発見したのだ。

その危険性について、玉置氏は「ヒグマは賢い動物です。一度でも人間の食べ物を口にしてしまうとその味を覚え、観光客の車に近付くようになったり、人の生活圏に侵入してしまったりと、行動を急速に変えていきます」と、警鐘を鳴らす。

ヒグマに悪影響を与えてしまう人間の身勝手な行動は、こうした「餌付け」だけではない。

玉置氏は「ヒグマの行動を変えてしまう要因として『人の存在に慣れてしまうこと』も挙げられます。知床では、写真を撮りたいがために過度なまでにヒグマに接近するカメラマンや観光客が後を絶ちません」と、怒りを滲ませていた。

北海道・知床
(画像提供:公益財団法人知床財団)

取材に際し、提供を受けた現地の写真を確認したところ、まるで動物園のような感覚でヒグマを撮影する大勢の人物が確認でき、目を疑ってしまった。

この中にメディア・報道に関する人間がいたとすれば、同じ業界に所属する人間として、強い憤りを覚えるばかりだ。


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■自然を守るため、変える必要があるもの

知床峠付近の自然環境の様子について、玉置氏は「標高738メートルの峠であり、厳しい気候と複雑な地形により、亜高山帯から高山帯にかけて多様な植生と野生生物が見られます。特に、ミズナラやトドマツの針広混交林、ダケカンバ林が広がり、稜線付近にはエゾノツガザクラやチングルマなどの高山植物が咲き誇ります。天候が良ければ、遠くの国後島を望む壮大なパノラマが見られます」と、説明している。

本来であれば人類が敬い、率先して保護すべき大自然が、身勝手な人物の行動により、今日も人知れず破壊されている事実に、怒りを感じないだろうか。

北海道・知床
(画像提供:公益財団法人知床財団)

ゴミ不法投棄の問題について、玉置氏は「ヒグマと人の軋轢を軽減するため、まずは私たち人間がヒグマのことを正しく理解し、『近づかない』『エサをやらない』『ゴミを捨てない』といった基本的なルールやマナーを守ることがとても大切です。私たち知床財団は、国立公園内の各施設を拠点に。ヒグマの出没状況やヒグマの生態そのものをお伝えしているほか、ここ数年はSNSを使って『今』起きていること、最近起きた危険事例など、リアルタイムにヒグマに関する情報を発信しています」と、語る。

しかし悲しいことに、たとえルールやマナーを知っていたとしても、ヒグマに近づいてしまう人物が一定数存在するのも事実。…いや、それは「ルールやマナーを知っている」と、言えるのだろうか。

こうした問題に対し、玉置氏は「多くの人々に正確な情報を伝え続けながら、いかにして自身の行動を変えていくことへと繋げてもらうかが、私たちの課題であり目標です」と、展望を語ってくれた。

「人間がヒグマに襲われた」という結果だけを見ると、被害者は我われ人間である。しかし、その事象が起こる原因を突き詰めると、ヒグマもまた被害者となり得るかもしれない。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。元保護犬と一緒に生活しており、動物も自然も大好き。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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