“放送禁止”にもなったヒップホップ・バンドが本人役で映画化 音楽と言葉だけで戦う姿に注目
本人たちが出演! 北アイルランドのヒップホップ・トリオが大活躍『KNEECAP/ニーキャップ』8月1日公開。

イギリスの一部であるアイルランド。じつは2022年までアイルランド語は、公用語として認められていなかったのをご存じですか?
そのアイルランド語でラップを叫び、放送禁止の憂き目にもあうほど過激なヒップホップ・バンド「KNEECAP(ニーキャップ)」。彼ら自身が役を演じ、バンド結成までを描く『KNEECAP/ニーキャップ』が8月1日から公開になります。
アナーキーな3人組が、なぜ世界を揺るがすまでになったのか。その秘密を探ってみましょう。
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■アイルランドの歴史

本作の舞台は、北アイルランドの中心都市ベルファスト。
1921年、南北に分割されたアイルランドは、北はイギリス領として残ったものの、南アイルランドは独立国家、アイルランド共和国となりました。
その結果、北アイルランドでは、イギリスからの独立を望む派と、イギリス領のままでいるべきとする派が対立。1998年のベルファスト合意を見るまで、紛争が続いたのです。
■アイルランド語のラップ誕生

そこに住むニーシャ(MC ネーム:モウグリ・バップ)は、父がイギリスからの独立を推奨する過激派組織に属していたため、幼なじみのリーアム(MC ネーム:モ・カラ)と共に、しっかりしたアイルランド語教育を受けて成長しました。
あるとき、麻薬取引で警察に捕まったリーアムは、英語の使用を断固拒否。そこへ、アイルランド語も操る音楽教師の JJ(MC ネーム:DJ プロヴィ)が、通訳として召喚されます。
押収されたリーアムの手帳に、アイルランド語の歌詞が綴られていたのを見つけたJJは、それをもとにアイルランド語のヒップホップを作ろうと言い出すのです。
■アイルランドの独自性

そもそも3人のバンド名、「KNEECAP(ニーキャップ)」は、北アイルランドの民兵組織が行う「膝を撃ち抜く」といった制裁方法のこと。
そうした好戦的な態度と歌詞は、裁判沙汰になるほどですが、ただひたすらアイルランドのアイデンティティを主張する彼らに、眉をひそめる者も、熱狂的に支持する者も、はっきり分かれるでしょう。
アイルランド語が公用語となったように、昨今では、マイノリティの権利が認められるようになったとはいえ、まだまだ厳しいのが現実。それでも流血を伴う暴力とは距離を置き、音楽と言葉だけで戦う彼らは、ある意味最も平和的な武器で問題を解決しているのかもしれません。
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『KNEECAP/ニーキャップ』
8月1日(金)新宿シネマカリテほか全国順次公開
公式サイトはこちら!
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(文/Sirabee 編集部・尾藤 もあ)




