お酒の席での習慣 「グラスを合わせる理由」を知っている人はわずか1割だった
日本で一般に普及したのは明治から大正にかけてだと言われている。
お酒の席に人が集まると、自然とグラスを合わせたくなるものだが、この習慣はいつ頃始まったものなのだろうか。
■お酒の席で乾杯する理由とは?
Sirabee編集部が全国の10代〜60代の男女700名を対象に実施した調査では、全体で11.2%の人が「お酒の席での乾杯の理由を知っている」と回答した。
なお男女別に見ると、男性は14.2%、女性は8.3%という結果になっている。
■毒が入っていないことを証明するため
乾杯の起源は古代ヨーロッパの「神や死者のために神酒を飲む」という宗教的な儀式にあると言われている。その後、お酒には悪魔が宿っているため、グラスを合わせて音を立てることで悪魔を追い払うという考え方が浸透していく。
さらに、戦乱の世では酒の席での毒殺も横行していたため、杯を強くぶつけることで互いのグラスに酒を飛ばし合い、毒が入っていないことを証明するという意味もあったようだ。
■日本で乾杯が普及したのは明治から大正期
日本で乾杯が一般に普及したのは明治~大正期だと言われている。一説には、黒船でやってきたペリー提督らが乾杯している様子を見た幕府の役人たちがその所作を真似はじめたのが始まりと言われている。
また、江戸時代末期に米国へ渡航した幕府の役人が立ち上がって杯を合わせて飲むしきたりを見聞きしてきた、日英和親条約などの条約締結のために来日したイギリス人により伝えられた、などの説もある。
いずれにしても、その後西洋文化が普及し、ビールや洋酒が広まるにつれて乾杯の習慣も一般に広がっていったようだ。
■日本酒で乾杯条例とは?
こうして日本でも広く行われるようになっていった「乾杯」。西洋文化とともに伝わった習慣だけに、ビールやワインなど西欧のお酒をイメージする人は多いだろう。そんな中、日本酒造組合中央会が中心となり、地元で生産された酒などによる乾杯を奨励する乾杯条例が各地で制定されているのをご存知だろうか。
2013年1月に京都府で「京都市清酒の普及の促進に関する条例」が施行されて以来、全国の自治体へと広まり、令和6年4月1日時点で、条例本文中に「乾杯」という言葉を使用しているものを含めると少なくとも194条例が確認できる。
罰則や拘束力はなく、日本が世界に誇れる伝統文化の1つである日本酒を盛り上げていこうという趣旨の条例だ。日本を元気にするためにも「とりあえずビール」ではなく「とりあえず日本酒」で乾杯してみると、また違った酒の席の楽しみがあるかもしれない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女731名 (有効回答数)