お化け屋敷に現れた「お化けより怖い人間」が恐ろしすぎる 無意識でなってしまう可能性も…
お化け屋敷内に掲出された、お化けからの悲痛な願いが話題に。「人間のほうが怖い」と、共感の声が多数寄せられている。
■発案者が目撃したグロテスクな光景
お化け屋敷の看板人形の張り紙、全ての親に見てほしい。子どもが嫌がることして笑いながら動画撮ってる親とか虐待だと思ってる。 pic.twitter.com/LZn66R6GKW
— 杏 (@apricot_candy_a) August 16, 2024
オープンから20年以上を誇る台場怪奇学校は、廃校となった小学校が舞台となるミッション参加型お化け屋敷。入口で渡される懐中電灯を頼りに、真っ暗な廃校を進んでいく。
そんな台場怪奇学校の演出を担当しているのが、今回の取材に応じてくれたホラープランナー・齊藤ゾンビ氏なのだ。
話題の注意書きは2013年ごろに掲出されたそうで、齊藤ゾンビ氏は「抱っこした小さな子供を無理やり店頭の怖い人形に近づけ、子供が嫌がる姿を見て親が笑い、喜んでいる姿をよく見かけました」「無抵抗の子供がかわいそうだと感じました」と、振り返る。
続けて「人が怖がる声(叫び声)には、『楽しい叫び声』と『嫌がって出す叫び声』の2種類があります」「怖がることを楽しむ、ということを理解している人は『楽しい叫び声』を出し、その声には不快感がありません。逆に、怖いのが苦手な人を無理やり怖がらせて叫ばせる『嫌がって出す叫び声』は、不快感が混じった不協和音のように聞こえます」と、お化け屋敷目線からの「叫び声」に対する印象を語ってくれた。
そして「『子供を怖い人形に無理やり近づけて怖がらせる』という行為は親子が戯れてる様子にも見えますが、無理やり不快感を与えている行為は『いじめ』と変わらないのではないかと考え、親への呼びかけも兼ねて設置することにしました」と、掲出の経緯を説明している。
■「お化け屋敷」に限った話ではない
果たして、注意書きの設置によって親たちの意識は変わったのだろうか…?
こちらの疑問に対し、齊藤ゾンビ氏からは「子供を無理やり脅かす親が注意書きに気付き、『確かにそうだな』『いじめと一緒だな』と反省する様子を何度も目にしました」との回答が得られた。
齊藤ゾンビ氏はさらに「反省する姿を見ると、多くの親御さんは『子供と遊んでいる、一緒に楽しんでいる』という感覚で、無意識にしてしまっている行為なのだとも感じました」「このメッセージが、ご自身のお子さんとの向き合いかたを見直すきっかけになれば良いなと感じております」ともコメントしている。
ここで誤解してはいけないのは、件の注意書きがお化け屋敷で「叫び声をあげること」や「驚かせること」を咎めているワケではない点。齊藤ゾンビ氏も「お化け屋敷は、叫ぶことを楽しむ場所です。少しでも怖かったら叫ぶ、それが楽しみ方です」と、頷く。
その上で「しかし、世の中には『恐怖を楽しめる人』と『恐怖を楽しめない人』が存在します。みんなが同じ感覚を持っているワケではありません」「恐怖を楽しめない人は、ストレスやトラウマを抱えてしまう可能性もあります。ですので『恐怖を楽しめない人=お化け屋敷に入りたくない人』を無理やり入れることはせず、恐怖を楽しめる人達で思い切り叫び、お化け屋敷を楽しんでください」と、笑顔のコメントを寄せてくれたのだ。
言うまでもなく、こうした意識が大切なのは「お化け屋敷」に限った話ではない。
話題のポスト投稿主・杏さんも「最近SNSで、子供にわざと嫌がらせをして泣かせ、大人が笑いながら動画を撮る様子が流れてくることが多かったです。セミを持って虫が苦手な子供を追いかけたり、ハロウィンのお化けに子供を無理やり近付けたり…」「子供に寄り添うことが何よりも優先である親の立場として、決して他人事ではないなと感じました」と、親としての思いを語ってくれた。
幼い子供と触れ合う機会の多い人は、自身の言動を振り返ってみてほしい。とくに、自分が「冗談」と感じているものを。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)