都内大学に100年前のパワーワード出現、通行人はギョッとするが… 「現代に必要」と称賛の声

大妻女子大学の入り口に掲出された、巨大な校訓の張り紙が話題。「恥を知れ」という言葉の重みに、称賛と共感の声が寄せられた。

2024/06/04 05:30

■大妻生、それにしてもノリノリである

「大妻中学高等学校」公式サイトでは「創立以来100年の歴史を持つ大妻中学高等学校では、校訓『恥を知れ』を人間教育の根幹とし、一貫して『時代の要請に応える教育』を実践しています」と説明している。

「大妻学院」の創立者・大妻コタカは、校訓「恥を知れ」について「これは決して他人に言うことではなく、あくまでも自分に対して言うことです。人に見られたり、聞かれたりしたときに恥ずかしいようなことをしてはいないかと、自分を戒めることなのです」と語り、自分を律する心の大切さを常々説いていたという。

大妻女子大学

もとは大妻家の家訓であった「恥を知れ」が校訓となったのは、1917年(大正6年)のこと。しかしその言葉の重みは100年経ってなお、いや現代に生きる我々だからこそ、痛切に感じられるのかもしれない。

大妻女子高校、大学の卒業生であるAさんは、同校訓について「高校受験前の学校説明パンプレットで初めて知りました。高校に合格したら、どんなお作法教育があるのか楽しみだったのを記憶しています」と振り返る。

同校訓は大学よりも高校、高校よりも中学で特に使用・掲出されていたようで、Aさんは「クラスの大半が大妻中学から進学してきた生徒だったため、高校入学時には『恥を知れ』について、特に指導はなかったと記憶しています。しかし既にクラス中に『恥を知れ』が浸透していました」とも補足している。

大妻女子大学

そして何より驚きなのが、校内に設置された「恥を知れ」の数。

Aさんは「教室の黒板の上や校章の裏、文化祭や修学旅行のしおりなど、あらゆるところに『恥を知れが』ありました。自習時間に騒ぐなど、お行儀が悪いときは先生から『恥を知れ』と叱られたりしていました」と、目を細めつつ語ってくれたのだ。

そうしたエピソードに加え、やましい気持ちがなくとも、ついギクリとしてしまうフレーズだが、学生からはポジティブに受け止められていた模様。

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Aさんは「自発性を重んじる校風でしたので『恥を知れ』を威圧的に感じたことはなく、むしろ生徒たちは自分たちの合い言葉のように、喜んで使っていました」と、笑顔で振り返っていたのだ。

なお、大学入学後は「恥を知れ」を目にする機会はグッと減るようで、Aさんは「校訓の大切さを、特に改めて実感した経験はありませんが、ひょっとしたら心の深層部分にしっかり刻まれているのかもしれません」とも語っている。

そして「卒業後に大妻生と昔話をするときなどは、校訓が話題にあがるケースが多いです」「在学中も卒業中も、愛着をもった大切な教訓です」と、大妻卒業生としての矜持を感じさせる温かいコメントを寄せてくれたのだ。

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■「恥を知れ」を勘違いしていた時期も…

「恥を知れ」という言葉は、つい人に向かって使いたくなるが、その本質は前出の通り、自分自身への「戒め」なのだ。

同学の卒業生であるBさんは、「中学1年生のころは『恥を知れ、恥を』というイメージで、他人に向かって言いやすいことから、校訓をふざけて口にしていました」「恥をかくことが校訓だと、若気の至りでわざと勘違いをしたふりをし、一般的に恥ずかしいことをそっとやってみたりなどしても『恥を知れ』と友人らと言い合い、笑っていたことも多々あります」と、中学時代を振り返る。

校訓の本来の意味について、コタカの肉声による校内放送も流れていたそうだが、Bさんは「中学時代の自分には、響いておりませんでした」と苦笑い。しかし、この校訓に長年親しんできたことはBさんにとって大きな財産となったようだ。

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Bさんは、「自分の中の恥を知れ、未熟さを知れ、という言葉に中学から触れていたことは、今の自分にとってとても大きな意味があります」「多様化と言われる現在においては、そもそも恥ずべきことの捉え方が多岐に渡っていますが、私の中には『恥を知れ』が浸透していますので、『これまで何を恥と考えて生きてきたか』という点を、明確に振り返れます」と語る。

大勢の人にとって共通の「恥」と認識される事象は少なくないが、自身が恥と認識する一方で、それを恥と認識しない人が存在する事柄も、当然存在する。

Bさんはそうしたケースを例に挙げつつ、「自分自身の信念のように、恥ずべきことが明確になりました。良い校訓だと思います」と、笑顔で頷いていたのだ。

さらに、Bさんは「文化祭の時にはお揃いのウインドブレーカーを作るのが流行っており、背中に『shame on you』(恥を知れ)と入れているグループが沢山いました。懐かしいです」と、目を細めつつ振り返っている。「恥を知れ」という言葉は、格言としても青春の思い出としても、多くの大妻生の胸に刻まれているのだ。

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SNS等の影響もあり、軽率な発言や行いが炎上しやすくなった現代。慎みを持った行動ができるよう、自分自身に「恥を知れ」と問い続けるスタンスが何よりも重要な時代と言えるだろう。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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