世の中、ダメもとでお願いしてみることも経済学的には大切だという話
【得する経済学】自動車保険の更新の際、ちょっとしたトラブルが。ダメもとでコンタクトセンターに事情を説明したところ…。
「あの、申し訳ないのですがこれ何とかならないかと思って電話しました」
と、お願いをしているのが私、電話の相手先は自動車保険のコンタクトセンターです。
先に重要なことを申し上げておきますと、私の本業は経営のコンサルティングで、コンタクトセンターの方々とも仕事をしたことがあります。コンタクトセンターの仕事というものはとても心にストレスがかかる仕事だということは重々承知しているので、必要以上に無理はお願いしないように私自身は気を付けています。
■自動車保険の更新を…
さて、電話の用件は自動車保険の更新です。
私の車の保険の更新のタイミングが来たのでインターネット経由で更新しようとしたのです。私が使っているのはテレビCMでもおなじみのどちらかというとお安いタイプの自動車保険会社で、更新をネットで行うと安くなります。だからコンタクトセンターには普段は電話をしないのです。
ところが今回、ちょっと困ったことが起きました。それはこういう話です。
■まさかの「16km」オーバー
前年の契約ですが、新車を購入した新規契約でした。保険の内容にはいろいろな項目があるのですが、今回の記事に関係するところだけをお話ししておくと、契約内容は走行距離3000km以内の契約になっています。
それで更新の作業をネットで始めたのですが、告知事項としてその年に走った走行距離を入れる記入欄があります。車のオドメーターを確認したところ走行距離は「3016km」になっていました。16kmオーバーです。
でもだいたい3000km以内だから(?)大丈夫だろうと思って操作を進めたところ、サイト上でエラーが出ました。保険プランとして3000km~5000km区分の契約しか選べなくなっていたのです。
■保険料1万5000円プラスに…
問題はそれで保険料が変わるということです。それも1万5000円近く高くなるのです。たかだか16kmなのにこれは痛いなと思ったのです。それでなんとかならないかと思いながら申し込みページをみたところ、前年の契約開始の時の走行距離が「0km」になっていることに気づきました。
新車を購入したことがある方ならご存知のとおり、新車はまずディーラーが陸運局に登録して車検証を取り、その車検証の情報をもとに先に私が自動車保険を申し込んで、保険に加入した状況でディーラーまで車を取りに行くものです。
そうしないと、ディーラーから家にもどるわずかな間に事故を起こしてしまうと無保険になるのでそうするのです。
保険は新規の申し込みだと「新車の場合は走行距離を0kmと入力してください」と書かれているので、昨年の私は何の疑問ももたずにそう入力しました。しかし新車は購入した日にすでに0kmではなくある程度走った状態で納車されます。
■コンタクトセンターに相談した理由
具体的に何kmだったのか覚えていないのですが、調べてみたところ東京・東雲にあるディーラーから練馬の陸運局まで往復60kmほど離れています。つまり一年間に走った3016kmのうち、納車前にディーラーの方が走ったのが60km、私が走ったのが2956kmだと思われるわけです。
「なので何とかなりませんか?」と、電話をかけてコンタクトセンターの方に相談したのです。
…話をしてみるものです。今回は先方の判断でOKにしていただけました。私が主張した通り、新規加入の際の入力は0kmと入力したけれども実際はディーラーが陸運局まで走った距離があったので、その分の初期値を訂正していただけたわけです。感謝です。
繰り返しになりますが、今回私がお願いした話は、微妙な話だと思います。あくまで先方の判断次第で受け入れてくれる場合も、却下される場合も起きるとは思います。
ただクレーマーにならない程度に一度、自分の考えを主張してみることは経済学的には正しい行動だと考えるべきでしょう。なにしろわたしもこれで1万5000円ほど得をしたのですから。
■著者プロフィール
Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「自動車保険の更新」をテーマにお届けしました。
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(文/鈴木貴博)