46年前の約束「皆既日食をみんなで観よう」を実現 理科教師と教え子が感動の再会
46年前、理科の教師として中学校に勤務していた男性は、生徒たちに「2024年の皆既日食をみんなで観測しよう」と声をかけていた。
学生時代に「熱心に指導してくれる教師」と出会った人は幸運だ。教科ごとの得手不得手も、教師の人柄や指導力に影響されることがあるからだ。ある教師と生徒たちの話題を『GOOD NEWS NETWORK』や『The Guardian』が報じている。
■「2024年にみんなで観測しよう」
遡ること46年前の1978年、当時22歳だったパトリック・モリアーティーさん(68)は、アメリカ・ニューヨーク州ウェブスターの中学校で、理科教師として勤務していた。
そして皆既日食について教えていた際、当時の生徒たちに「次の日食は2024年の4月8日だよ。この日にみんなで集まって観測しようよ」と話したそうだ。
さらに「近くなったら地元の新聞紙に載せるよ」と言ったものの、生徒たちは「半世紀も先のこと、わからないよ」と笑って受け流したという。
■ダメ元でFacebookを開設
時は流れて2022年、パトリックさんは「最近の人は新聞離れし、広告を載せても目に留まらないから」とFacebookアカウントを開設した。当時の生徒たちが見つけやすい名称でグループページを作り、2年後の皆既日食を観測する参加者を募ってみたのだ。
期待はしていなかったというパトリックさんだったが、生徒たちはすぐにページを発見。どんどんシェアされていった。
■参加者は100人以上にも
そのうち参加者は100人近くになり、皆既日食の日が近付くにつれ、計画の詳細も具体化していった。
喜んだパトリックさんは地元のピザをケータリングし、さらに日食グラスを130個購入。いよいよ当日を迎えると、全米各地から当時の生徒が100人以上も集結した。
顔や雰囲気が変わってしまった生徒もいたが、パトリックさんは全員の名前を記憶していた。皆既日食が始まる1時間前、中年世代になった生徒たちを前に、そのメカニズムなどを久しぶりに教えたそうだ。
■感激の再会に涙
生徒たちは「また先生の授業が聞けて嬉しい」「この実現は人生で一番長い宿題だったよ」と喜び、感激のあまり泣き出した。
「モリアーティー・日食の集い・2024年4月8日」と描かれたTシャツを着用する人たちや、孫を連れた人、さらに自分の身に起こったドラマを明かす人もおり、その場にいた全員が再会を懐かしんだという。
パトリックさんもまた、教え子たちが自分のことや約束を覚えていてくれたことが大変嬉しかったようだ。教師として慕われていたパトリックさんだからこそ、実現できたことだろう。