『鋏』をなんと読む? 形状によって「ギリシア型」と「ローマ型」があるようで…
金属(金)で両側からはさむ(夾)ことから、「鋏」という表記になったようだ。
■「鋏」は何と読む?
Sirabee編集部が全国の10~60代の男女800名を対象に「鋏」の読み方に関する調査を実施したところ、全体で75.4%の人が「はさみ」、24.6%の人が「びょう」と読むと回答した。
「はさみ」と読む人は男性が75.9%で女性が74.8%。「びょう」と読む人は男性が24.1%で女性は25.2%という結果に。
■正しくは「はさみ」
「鋏」は「はさみ」と読む。ご存知の通り紙などを裁断するあの「はさみ」のことだ。金属を表す「金」と両側から「夾(はさむ)」を組み合わせた漢字で、「はさむ」という動詞が名詞化して「はさみ」になったと考えられている。
はさみの歴史は青銅器時代に遡り、1枚の金属板をU字形に曲げて刃と刃が合うようにした形態の「ギリシア型」と、2枚の金属板をX字形に鋲で留め刃と刃が合うようにした形態の「ローマ型」がある。
■ギリシア型は「和鋏」、ローマ型は「洋鋏」
ギリシア型は日本で言うところの「和鋏」で、紀元前10世紀頃に古代ギリシアで羊毛の収穫に使われたものが起源とされており、日本へは中国を通して伝わったと考えられている。いまではローマ型が主流となり、ギリシア型のはさみが一般に生産・使用されているのは日本のみなのだそう。
ローマ型は、日本で「洋鋏」と言われているもので、その歴史は紀元前30年頃の帝政ローマ時代に遡り、鉛や針金の切断に使われていたと考えられている。こちらも日本へは中国や朝鮮半島を経て伝わり、奈良の正倉院に銅メッキを施したローマ型のはさみが残されているという。
■「びょう」の漢字は「鋲」
「びょう」にはいろいろな漢字があるが、はさみと勘違いをしやすいと思われる「びょう」は「鋲」と書く。金属製の留め具を指しており、画びょうもその一種だ。「鋲」という文字は日本で形声によって生み出された国字だという。
道路や家の敷地付近で白や赤、黄色などの金属のポッチのようなものを見かけることがあるが、あれも鋲の一種で、モノによって敷地の境界や地図上の基準点、高さの水準点などを表しているそうだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女800名 (有効回答数)