書店の一角にひっそり集まる「真っ黒で不気味な本」、そこには秀逸な仕掛けがあって…
書店の片隅で見つけた表紙に「文字が書かれていない」本。これって一体何なの?
■表紙にはタイトル、著者名すらない
新刊書籍や雑誌が数多く並ぶ同店で、完全に異彩を放っている一角。そこには真っ黒な表紙に包まれた本が立ち並んでおり、本の側面には何やら怪しげな吹き出し型の付箋がつけられている。
「俺も、いつかは、死ぬんだな。」「とりあえず笑ってる。嫌われたくないから。」「あの人の、どこが、好きだったんだっけ。」「さびしぃなぁ。ぬくもりがほしいよぉ。」と、そのメッセージは本ごとに違い、じつにシュールな光景である。
■不気味な本の中身は?
どの本も紐で閉じられており、立ち読みすることさえ叶わない。一体この本たちは何なのか──。
じつはこれすべて、文藝春秋から発刊されている純文学作品。同社がイチオシする20の作品を、あえて真っ黒なパッケージに包み、作品からインスピレーションを受けた“本音”だけを作品名の代わりに記載したものなのだ。