店頭で遭遇した30円のモバイルバッテリー、爆買いしたくなるが… 「確認すべき点」に要注意

とあるスーパーで目撃されたモバイルバッテリー。その驚きの性能が「謎技術」と話題を呼んでいるが、絶対確認すべきポイントが存在した。

2024/01/22 04:45

新年早々、多くの人々に衝撃を与えた令和6年能登半島地震。この震災を受け、防災グッズや備蓄に対する意識を改めた人は少なくないだろう。

そんな中、X(旧・ツイッター)上では、とあるスーパーで発見された「謎技術のモバイルバッテリー」が話題を呼んでいる。

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■30円で売られた「謎技術」に驚き…

今回まず注目したいのは、Xユーザー・めむくろさんが投稿した1件のポスト。「謎技術が30円」と意味深なフレーズの綴られた投稿には、なんと税込33円で大量に販売されたモバイルバッテリーの写真が添えられている。

この金額設定だけでも十分に驚きだが、なんと同商品は厚さがわずか3mmほどしかない「カード型モバイルバッテリー」だったのだ。

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■驚きの性能だが疑問の声も…

同ポストは投稿から3日足らずで、4,000件近くものリポストを記録するほど大きな話題に。

他のXユーザーからは「これは何個か持っておきたいな」といった声が上がっていたが、パッケージ細部に注目したユーザーの中には「現代のスマホ」のスペックと照らし合わせ、疑問を感じた人も少なくない。

モバイルバッテリー

ポスト投稿主・めむくろさんに話を聞いたところ、こちらの商品は石川県白山市の某スーパー内で発見したものと判明。

ポスト投稿の経緯について、めむくろさんは「充電可能なリチウムポリマー電池であれば薄い物も部品として流通していますが、使い切りである一次電池でこれほど薄く、かつスマホが充電可能なほどの電流出力があるものを知らなかったので『謎技術』という感想を持ちました」「30円で処分しないといけない状況に同情しつつ、技術好きのフォロワーにウケるだろうと考えてポストしました」と振り返っている。

「1個30円」であれば、緊急時に備えて数個購入したくなるが、その前によくチェックしておくべき情報が…。

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■「たった6年」でこれほどの変化が…

薄型、小型、長期保存が可能、と三拍子揃った商品だが、まとめ買いを検討している人には注意を喚起したい。同商品の輸入販売元であった会社の担当者に話を聞いたところ、こちらは既に生産・販売が終了している物と判明したのだ。

モバイルバッテリー

また使用推奨期限が「製造より10年間」と表記されているが、使用期限は「2026年12月」となっている。つまり写真に写っている商品は今から6年ほど前、元号がまだ平成の2018年前後に製造されたものだ。

こうした条件を踏まえた上で、担当者は「あくまでこちらの商品は、当時のスマホの性能・規格に合わせたバッテリーとなります」「現代のスマホの充電を満タンにするには3,500〜 4,000mAh(ミリアンペア)が目安ですが、同商品の容量は700mAhほどしかありません。さらに、バッテリーの置いておいても自然放電する特性を加味すると、輸入時からでは容量も10%ほど目減りしていると考えられ、現代のスマホへの使用に際しては、ほんの数%しか充電できないでしょう」と、説明していた。

また、現在は「USB Type-C」「Lightning」といった端子が主流だが、同商品の対応端子は「microUSB」である。つまり現代の我々が利用した場合は「端子を対応させる」という壁を乗り越えて、わずか数%の電池を得る…という、明らかに割に合っていない展開が待ち受けているのだ。

モバイルバッテリー

「10年間の長期保管が可能」というのは、同商品のウリのひとつであったと思われる。しかし、その半分ほどの6年でも性能や規格に大きなギャップが生じてしまうことから、スマホ技術の進化のスピードを改めて実感させられた思いだ。

緊急時のモバイルバッテリーを準備・長期保管する際は、こうした点に注意してほしい。また、同商品が輸入販売されたのは16年であるが、19年2月以降、充電バッテリーには「電気用品安全法」(PSE)の適合が義務化されている。

「格安」販売されている海外品の購入に際しては、上記PSEマークが取得されているかも、併せて注意しよう。

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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