過去最低の視聴率だった『NHK紅白歌合戦』、雰囲気があの国民的アニメに近い? 旧ジャニーズ“以外”の要因を元文春記者が考察
昨年大晦日の『第74回NHK紅白歌合戦』が過去最低の視聴率を記録したことについて、『週刊文春』の元記者が考察。44年ぶりに旧ジャニーズ勢の出場ゼロとなったが、それ以外の要因とは…。
『週刊文春』の元記者でジャーナリストの赤石晋一郎氏と、同じく元記者でノンフィクションライターの甚野博則氏が、17日に更新されたYouTubeチャンネル『元文春記者チャンネル』に出演。昨年大晦日の『第74回NHK紅白歌合戦』が過去最低の視聴率を記録した要因について考察した。
■2部制以降で歴代最低
昨年の『紅白』では、平均世帯視聴率が第1部で29.0%、第2部が31.9%で、2部制となった1989年以降で歴代の最低視聴率を記録したことが報じられた。
昨年はとくに、スマイルアップ(旧・ジャニーズ事務所)の所属タレントが44年ぶりに出場ゼロとなったことも大きな話題になっていた。
赤石氏は、NHKが公共放送であるため、補償問題が終わっていない中で「(タレントを)出す判断はしてはいけないんだろうな」と理解を示した上で、旧ジャニーズの出演が視聴率に及ぼす影響はあまり大きくない可能性を示唆する。
■演出が「寒っ」
甚野氏は、出演者の顔ぶれよりも「むしろ演出が『寒っ』って思う。1人歌手が歌い終えたら『素晴らしいですね、良かったですね』みたいな…NHKらしいわざとらしい演出。分かりきっちゃっているし、展開が」と指摘。「司会だってNHK用にみんな出てしゃべっている。優等生みたいなことだけを言っている」と話す。
赤石氏も、「要は感動がないということ。誰しもが万人受けする演出をするから、刺さらないこともある」とうなずいた。
■空気感が『サザエさん』?
また甚野氏は、NHKが本番前に時間をかけて入念にリハーサルを行っていることに触れ「取材に行きましたけど、同じことをずっとやっているんですよね。つまらないとは言わないけど…。空気感が『サザエさん』とか、ああいうのに近い。昭和を見ているみたいな」とも述べる。
赤石氏も、「予定調和がね…。(昭和の中頃の)高度成長期にはそれはそれで、みんな喜んでいた。今みたいに多様化してしまうとね」と、個人の価値観や行動がさまざまに多様化した現代には合わなくなっているという事情も指摘していた。
■「印象に残ってない」の声も
今回の『紅白』について、視聴者からも「開始1時間だけ見たけど、印象に残ってないな」「テレビ番組が娯楽の時代は、我が家はとっくに終了」「有吉(弘行)さんも司会しながら、心の中で仕事と割り切ってたんじゃないかなぁ」といった声が。
一方で、「マンネリを越して今や伝統芸。このままのフォーマットでやり続ければいいと思う」との意見も見受けられた。