認知症を患った母親の死に「ホッとした」女性 兄弟の理解は得られずとも共感者は続々
長いあいだ認知症を患っていた母親が亡くなったと聞いて、「正直ホッとした」と掲示板に書き込んだ女性。「気持ちが分かる」といったコメントが、多数寄せられている。
親が亡くなったと聞いた瞬間、「良かった」という気持ちになった娘。兄弟のように泣くこともできず、「私は不道徳なのだろうか」と思い詰めるようになった。
■認知症だった母親
海外で暮らす女性の母親は認知症で、ここ2年で症状は急激に悪化していた。自分や孫を見ても、認識すらできない。トイレにも行けずオムツをつけた母親を見るたび、女性は悲しい気持ちになった。
そんなある日のこと、兄から突然電話を受けた女性は、「母さんが死んでしまった」と聞かされた。その瞬間に女性はホッとし、つらいと感じることさえなかったそうだ。
■母親の旅立ちに安堵
大事な家族が死んだというのに、涙は出ない。それどころか「母さんもようやく苦しみから解放された」「本当に良かった」と安堵した女性は、祝杯をあげるため酒を買いに行くことにした。
それを知った兄弟から責められた女性は、「母さんが生きていたこと。それを祝ってあげたいの」と伝えたが、理解はしてもらえなかった。そして「私には良心がないのか」という疑問も芽生えた。
■寄せられた共感の声
女性がこの経緯をネット掲示板『Reddit』に投稿したところ、認知症を患う家族との別れを経験したユーザーらが共感の声を上げた。
あるユーザーは「認知症患者は、実際の死よりかなり前に自分を失ってしまう」「だから家族が嘆き悲しむプロセスは、死より前の段階で始まっている」と書き、泣かなかった女性に理解を示した。
また認知症の父親を亡くしたユーザーは、「私も父が死んだときホッとした」「でもそのせいで私もひどい罪悪感に苦しんだ」と書き込んでいる。
■同じ思いをした人も
同じ経験をしたというユーザーは、「認知症の母親が死んで1年以上が経つのに、つらいと思えない。だって母親は苦痛から解放されたのだから」「ただ母を恋しくは思うし、いつか悲しみが押し寄せるのだと思う」とコメントしている。
他にも、「認知症患者の死は、刑務所から解き放たれたようなもの」と表現し、「泣かないことを責められたら、『母が自由になったことを喜んでいるの』と説明すべき」と伝えているユーザーもいる。
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(文/Sirabee 編集部・マローン 小原)