松本人志の件が芸能界を2点転換させる展望 吉本と法令遵守からの転換

松本人志の活動の功罪と「吉本興業の松本」への転換点を辿り、吉本文化からの転換と、「法令遵守から尊敬へ」の展望を考察。

■関西・吉本一強状態からの転換点

吉本芸人をほぼ出さないフジテレビ系の昼帯番組『ぽかぽか』や、タモリ・内村光良・笑福亭鶴瓶・有吉弘行とは違って、吉本芸人を司会には起用しない『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に潜在的に見られるように、独特な文化の吉本の独占を警戒する傾向もあるだろう。

吉本の独占状況への批判は様々に潜在しており、吉本の一強状態が批判されるようなきっかけが、今回あってもいいかもしれない。松本も、お笑い界で十分な役目を果たしていると理解することも可能だろう。


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■法令遵守からリスペクトへ

最後に松本の件に即して考察すれば、昨今は芸能界のモラルも非常に問われてきている。歴史的な目標も見失われた現代で、ますます「意味」が問われることは自然な流れ。

経済・情報化のブームも一旦落ち着き、先端科学技術もモラルを問う時代。人々はますますモラルを問われるようになっていくだろう。

「コンプライアンス」で芸能が縛られるのではなく、芸能をなす人間の「リスペクト」が問われていくべきと思われる。

今回の大事件がポジティブな転換点となり、お笑い界や芸能界もさらなる進化を遂げることを期待したい。

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(文/メディア評論家・宮室 信洋

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