「世界で最も悲しいゾウ」が43歳で天国へ 過去にはポール・マッカートニーも支援
フィリピンの動物園で飼育されてきたゾウのマリが、天国へと旅立った。何十年にわたり、たった1頭で孤独に耐え生活してきたという。
動物園では、生き物たちの飼育方法がたびたび問題になることがある。このたび1頭のゾウが永眠したことが注目を集めていることを、アメリカの『USA Today』やオーストラリアの『ABC』が報じた。
■1981年に動物園へ
フィリピンのマニラにあるマニラ動物園で、40年以上にわたり飼育されてきたアジアゾウのマリが、11月28日に天国へと旅立った。
マリは1981年、スリランカ政府から元フィリピン大統領夫人イメルダ・マルコス氏への贈り物として、生後11ヶ月で同園にやって来た。
当時は他にシヴァというゾウが飼育されていたが、1990年に亡くなって以来、マリはたった1頭で孤独に暮らしていた。
■ポール・マッカートニーが支援も…
マリが過ごした環境は、孤独で過酷なものだった。動物愛護活動家らは「倫理的な扱いと保護が必要」とたびたび同園を非難し、2013年には歌手のポール・マッカートニーも活動に参加した。
しかし「ほんのわずかな面積の中で、厳しい監禁、孤独、退屈、孤立に耐えて暮らしている」といった活動家らの訴えも虚しく、おとなしいマリは同園に数十年留まり続けた。
■世界で最も悲しいゾウ
フィリピン国内でも唯一のゾウとなったマリ。いつしか「世界で最も悲しいゾウ」と呼ばれるようになり、活動団体はベニグノ・アキノ3世大統領に書簡を送り、「タイのゾウ保護区に移送を」と要請していた。
昨年には同園が新型コロナウイルスのワクチン接種会場となったため、訪れた多くの人々を魅了したが、先月24日あたりから何らかの痛みを感じるのか、胴体を壁にこすりつけるようになったという。
■世界から幸せを願う声
その4日後、地面に横たわり荒い呼吸をしていたため、抗ヒスタミン薬とビタミン剤が投与されたが、マリはその日の午後に息を引き取った。検死の結果、内臓の一部にがんが見つかり、大動脈に閉塞があったことが判明したという。
この報道に対し「何十年もずっと寂しかっただろうに」「天国ではたくさんの友達ができますように」など、マリの幸せを願う声が世界中から寄せられている。
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(文/Sirabee 編集部・桜田 ルイ)