娘の肝臓がん手術を拒否した母親が有罪に CBDオイル治療を選択し逃走
娘の肝臓がん切除手術を拒否して、逃亡した母親。CBDオイル治療を選んだことで、刑務所に行く羽目になりそうだ。
アメリカで、娘に適切な治療を受けさせなかったとして、起訴されていた母親に対し有罪判決が下された。『Oregon Live』『KETK News』などが報じた。
■娘が肝臓がんに
2019年6月6日にオレゴン州の病院で、肝臓がんの切除手術を受ける予定の娘(当時13)と付き添いの母親(39)が来院しなかった。不審に思った病院側が警察に通報したことで、事件に発展した。
娘の肝臓に悪性腫瘍が見つかったのは、前年の3月だった。すぐに抗がん剤による化学療法が開始されたが、衰弱していく娘を目にして不安になった母親は、CBDオイル治療も始めたという。
CBDオイルとは、大麻草の種子や茎から抽出された成分であるカンナビジオール(CBD)を、ココナッツオイルなどで配合した製品だ。
■手術拒否して逃亡
CBDオイルを経口摂取することで、ストレス軽減をはじめ、体内の炎症、神経痛などの痛み緩和まで幅広く効果が期待できる。しかしまだヒトへの臨床実験が乏しく、てんかん治療の効果は認定されているが、その他の医学的な効果は証明されていない。
しばらくして娘の体調が整い、医師らと相談のうえ手術日が決まった。しかし手術当日、2時間前になっても娘と母親は来院しないばかりか、連絡が取れなくなったという。
警察は、母娘の捜索開始から1週間後、2人がネバダ州ラスベガスのホテルに滞在していること突き止めた。捜査員がホテルに向かい、娘を見つけて保護し、オレゴン州警察に引き渡した。その後、娘は里親の元に預けられたという。
■CBDオイル選択の母親が逮捕
一方で母親はホテルから逃走し、2ヶ月の逃亡生活を送った後、自ら警察署に出頭。児童虐待などの複数の容疑で逮捕された。
捜査関係者によると、母親は手術を拒否した理由を、「化学療法よりもCBDオイルのほうが効果的。実際に娘の腫瘍は90%も小さくなりましたから」などと説明している。
母親逮捕により、娘の監護権がオレゴン州の管理下に置かれたたため、同州司法省は関係者を集めて娘の治療方法を話し合った。
医師らは肝臓内の悪性腫瘍が増殖を続けており、他臓器に転移する可能性が高く、早く切除すべきと訴えた。切除すれば、70%以上の確率でがんの増殖を抑えられるそうだ。なお母親の主張については、医学的根拠はないと否定している。
■児童虐待で有罪判決
当初、娘は母親の影響により、手術を拒否してCBDオイル治療を希望していた。しかし周囲の説得もあったようで、半年後の2020年1月に手術に同意して、がんの切除手術を受けた。手術は成功したようで、現時点で再発などは確認されていない。
逮捕されていた母親は保釈金を払って釈放され、手術後には娘と同居が許された様子だが、現在も母親の裁判は続いている。11月17日の陪審員裁判では、第1級児童虐待などで禁固刑19ヶ月の有罪判決が下された。最終的に刑が確定するのは、12月になるという。
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(取材・文/Sirabee 編集部・宮 ちてら)