歌舞伎町の立ちんぼ問題にもつながるホストクラブの”売掛金”制度 9割が「問題あり」
新宿・歌舞伎町で問題になっている「立ちんぼ」による路上売春。多くはホストクラブの売掛金によるものとされているが…。
この写真は、つい数日前に編集部記者が新宿・歌舞伎町で撮影してきたものだ。大きな社会問題になって久しい、路上売春、いわゆる「立ちんぼ」の若い女性たちが文字通り列をなしている。
時おり、男性が近寄っては価格交渉をしているのか、何か話している姿も多く見かける。
■海外売春に送られるケースも
今国会審議においても議題となった、この「立ちんぼ」問題とその背景にあるホストクラブの売掛金問題。路上売春に走る女性のうち少なからぬ割合が、ホストクラブの料金や売掛金を支払うために身を売っている、と言われる。
立ちんぼだけでなく、風俗店を紹介されることも。また、立憲民主党によるヒアリングでは、支援団体から「海外に売春に行かされ、消息不明になった女性もいる」という実態も報告された。
■「売掛金」システムの問題
路上売春はもちろん犯罪で、海外に売春のために渡航することも現地の法律に触れるおそれがある。また、こうした状況が、梅毒の爆発的な感染増加など、性感染症が蔓延する温床になっている、との指摘も。
これらの元凶となっているのが、ホストクラブの売掛金制度。現金やクレジットカードを持っていなくても、「ホストに借りる」という形をとって高額な飲食をすることができる仕組みだ。
未成年女子が売掛金を背負わされ、路上売春していた事件も世間の注目を集めた。一部店舗では制度廃止や自治体との協議などを始めたとも言われるが、世間はどのように見ているのだろうか。
■9割が「問題あり」
Sirabee編集部が、11月10〜12日にかけて、全国10〜60代男女1,000名を対象に「ホストクラブの売掛金システム」について調査したところ、「全く問題ない」との回答は、わずか3.0%。
「あまり問題ないが自主的に改善すべき」が9.3%だった。「問題があり、規制を検討すべき」は31.0%にのぼり、最も多かった答えは、「厳しい法改正や摘発を行うべき」で、じつに57.3%を占めている。
岸田文雄首相も答弁で触れたこの問題だが、これだけ多くの声を無視するようであれば、支持率のさらなる下落は避けられないだろう。
■女性のほうが厳しい
今回の調査を男女別に検証してみると、意外な傾向も。そもそもホストクラブというサービスは、ホスト本人らを除いて一般の男性にはほとんど関係がない。
サービスを受ける客、つまり搾取されるのも女性であるわけだが、今回の調査では「法改正や摘発」を求める厳しい声は、男性より女性に目立った。
いくら自分たちのためのサービスとはいえ、借金を背負わされ、路上売春にまで追いやられるようなビジネスは、ターゲットである女性たちでさえ許さないということかもしれない。
■執筆者プロフィール
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)