灼熱地獄で27時間さまよったハイカーが仰天告白 「腹が減ってオタマジャクシを…」
この夏、「この先何もありません」と書かれた看板を見落とした親子が、登山道を外れてしまった。そこからはひたすら熱中症との闘いが続き…。
今から数ヶ月前、アメリカ・テキサス州の50代の父親が、娘とともに山でハイキングをした。だが、あるとき登山道を外れてしまい、そこからは文字通り「必死」の27時間を過ごしたという。
地元メディアの『MySA:San Antonio News』や『NEW YORK POST』などが報じ、人々の大きな関心を集めている。
■最高気温は40℃超
今年6月中旬、テキサス州オースティン在住のジェフ・ハーンさん(59)と娘のハーパーさん(25)が、同州のビッグベンドランチ州立公園に5~6キロほど歩く予定で、ハイキングに出かけた。
そこは険しい山脈と砂漠の雄大な光景、そしてバイソンの群れに遭遇することで有名な国立公園だが、ふたりは「この先何もありません」と書かれた木製の看板を見落としてしまった。
現地の最高気温は41.7℃で、草も木も生えておらず、日陰を探すことも難しい山で迷子になってしまったという。
■「ここで待つ」と言ったのに…
ジェフさんはこのほど地元の『テキサス・ハイウェイズ』誌の取材に応じ、「必死で水たまりを探しては水を飲み、川を見つけるとオタマジャクシも食べました」と仰天の告白をした。
しばらくするとジェフさんの脚の筋肉はけいれんし始め、ちょっと歩くと休憩が必要になった。ところが携帯電話も圏外で、助けを求めるためハーパーさんは独りで歩き出した。
公園の管理事務所になんとかたどり着いたハーパーさんは、職員を伴って午後7時30分頃に元の場所へ。だがジェフさんの姿はなかった。
■二度の奇跡で命拾い
じっと待つはずだったジェフさんが動き出したのは、熱中症の恐怖に加え、歩いているほうがむしろ脚の痛みが軽くなると感じたからだった。
すると、少し離れたところに古い避難小屋を見つけた。しかも窓辺に埃をかぶった1リットルの水のボトルが2本置いてあり、キャップを開けた形跡がないため、ジェフさんはその水を飲んでまた歩き出したという。
その後、ある場所で転落し、手首を骨折してしまったジェフさんだったが、偶然にも大きな岩に水たまりができていることを発見。再びの水分摂取で、一晩を生き延びることができた。
■「ハイキングや登山をやめないで」
公園管理事務所は救助隊の出動を要請し、あるときヘリコプターが小さな川のほとりにいるジェフさんを見つけた。彼は空腹を紛らわそうと、なんとオタマジャクシをすくって食べていた。
手首の骨折に加え、脱水症が強く疑われたジェフさんは病院に運ばれ、治療を受けると数日で退院した。そのとき思ったのは「現場に戻って、あの小屋に新しい水のボトルを2本置いてこよう」「皆さんには、私の話で『ハイキングや登山はやめよう』などと思わないでほしい」ということだったという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)