MLB挑戦の今永昇太が会見で見せた“強み” 「自分に嘘をついている生き方のような気がして」【DeNA】
MLB挑戦を正式に発表した今永昇太。13日の会見で横浜DeNAベイスターズ在籍の8年間について問われ、「まず謝らなければ」と記者陣を前に語ったのは…。
「今年度も横浜DeNAベイスターズが苦しいときも、また嬉しいときも、様々な媒体で取材して頂き誠にありがとうございました。これからも一人間として成長できるように頑張ります」。
MLB挑戦を正式に発表した今永昇太が、横浜スタジアム内で13日に開かれた会見の最後に発した言葉。常に感謝と自らを高めることに努めている、彼の人間性が滲み出た瞬間だった。
■感謝と気遣い
暑い日には報道陣に飲み物を差し入れるなど、心優しい面を持つ今永だが、この日会見でも“らしさ”が全面に出ていた。
ベイスターズ在籍の8年間について問われると「まずはやっぱり優勝できなかったことはものすごく申し訳ない気持ちでいっぱいですし、僕自身の不甲斐ない投球のせいで負けてしまった試合もたくさんあるので。優勝できなかったことは、ファンの方々、また応援してくださっていた方々にまず謝らなければと思っています」とまさかの謝意を表した。
ルーキーイヤーからローテーションピッチャーとして活躍し、CSや日本シリーズ進出の原動力となったことよりも、エースとしてチームを勝たせきれなかった思いがそれを上回っていたことが理解できる言葉だった。
■高い意識で掴むサクセス
また海を渡る理由のひとつとなった「マインドの部分」にも唸らされた。日本代表として国際試合を経験することでメジャーを意識し始めたことに加え「自分の生き方を変えるのは今しかないというのが一番の理由でもある」と明かした。
具体的には「ぼくと同じような人って日本人はたくさんいると思うんですよね。やっぱり人に嫌われるのは嫌ですし、できれば安静に毎日を過ごしたいと思うのが普通だと思うんです」と日本の一般的な性格を分析。
そのうえで「僕自身それが自分のやりたかったことなのかと。自分が野球を終えて、その先の人生のほうが長いはずなので、そのとき人生を考えたときに、やっぱりこのままの生き方は自分に嘘をついている生き方のような気がして」と自己開放を目指すと公言した。
■自身の挑戦が手本に
さらに「僕のこの挑戦を見て、同じような境遇の人だったりとか、自分自身を塞ぎ込んでいる人がいたら、僕がプレーしている姿を見て、彼が頑張っているならわたしもちょっと頑張ってみよう、と思われるような選手になりたいと思っている」と一歩踏み出したい人たちの手本にもなりたいと、しっかりと自分の意見を述べた。
日頃から「野球だけではダメ」と常に広い視野の必要性を説いていた“投げる哲学者”。感謝や反省で磨き上げた人間力を、アメリカの大地で昇華させてみせる。
■執筆者プロフィール
萩原孝弘:1971年生まれ。生まれも育ちも横浜の生粋のハマっ子で、大洋が横浜に移転して以来、一貫してホエールズ〜ベイスターズファン。
23年のオフィシャルイヤーブックもライターとして参加した。あくまでもファン目線で、独自のインタビューコラムや記事を各媒体で執筆中。
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(写真・取材・文/Sirabee 編集部・萩原孝弘)