エレベーター利用時に地震発生、思わず絶望するも… 「神機能」が乗客のピンチ救う
地震や停電が発生した際、エレベーターはどのような挙動を見せるのだろうか。調査の結果、6割以上の人が「勘違い」していると判明した。
今から130年以上も前の1890年(明治23年)11月10日、東京・浅草に日本初の電動式エレベーター が登場。この出来事が由来で、本日11月10日は「エレベーターの日」と定められている。
月日は流れ、今ではエレベーターは我々の生活に「なくてはならない物」となった。今回は6割もの人が勘違いしていた「エレベーターの仕組み」について紹介したい。
【関連記事】エレベーターで見せた親切心、とんでもない悲劇に繋がる 「開く」を押したつもりが…
画像をもっと見る
■地震・停電時のエレベーターは…
年間を通じて大小様々な地震が観測される日本は、「地震大国」と呼ばれることも。各家庭や施設にて「地震対策」を講じていると思うが、当然ながら「準備が万全な状態」で災害が発生するとは限らない。
たとえばエレベーターに乗っている間に被災する…といったケースも、十分考えられる。そこで今回は、全国の10〜60代の男女975名を対象として地震・停電発生時の「エレベーターの挙動」に関するアンケート調査を実施することに。
■エレベーターには様々な災害対策が
調査の結果、地震・停電いずれの事態でも「その場で停止する」という回答が最多となった。次点で「近くのフロアまで動く」が多く、「中が真っ暗になる」という回答が最も少ない。
しかしながら、余震や二次災害が起こるケースを考えると、エレベーターが「その場で停止する」という挙動は、利用者に大きなストレスと緊張感を与えるのではないだろうか。
そこで続いては、エレベーターやエスカレーター、動く歩道の専業メーカー「フジテック株式会社」に、こうした非常時のエレベーターの挙動について詳しい話を聞いてみることに。
記者の質問に対し、フジテック担当者からは「エレベーターは走行中に地震(初期微動)を感知すると、一番近い階に停止し、ドアを開いて利用者を外に避難させる機能を装備しています」「また、停電によりエレベーターが停止した場合、自動的にバッテリーを利用して一番近い階まで移動し、ドアを開いて利用者を救出します。停電を伴う大きな地震でも、乗客の閉じ込めを防ぎます」との回答が得られた。
停電でエレベーターのかご内部が消灯した場合でも「ひらく」ボタンだけは点灯しているため、ドアが一度閉まっても、落ち着いてボタンを押して外への避難が可能となっている。
フジテック担当者は「ドアが閉まった後はかご内の人感センサーで利用者がいないことを確認し、二次災害を防ぐために休止状態になります」とも補足していたのだった。
■「全てのエレベーター」に備わってるワケでなく…
これらの機能のもとであれば、安心してエレベーターに搭乗できる。しかし、全てのエレベーターにこうした機能が搭載されているのだろうか…?
こちらの疑問に対し、フジテック担当者は「(前出の機能は)建築基準法により、2009年9月以降のエレベーターには設置が義務付けられ、最新のエレベーターには必ず装備しており、安全性は高まっています」と説明する。
また、同社のエレベーターの強みについて「休止状態後にエレベーターが自動で運行の診断を行ない、保守員が到着するまでの間、仮復旧で運行可能なメンテナンスプランもご用意しています。閉じ込めをせず、ご不便をなるべくおかけしないよう、早期復旧に努めております」とも補足。
しかしながら「2009年以前」に設置されたエレベーターは、前出の機能を搭載していない可能性がある。そうしたエレベーターに搭乗したケースに備え、フジテック担当者は「地震発生時であれば、全ての階のボタンを押してください。そして最寄り階に到着したら、エレベーターを降りて階段で避難してください」と、アドバイスをしてくれた。
また「当社では地震対策機能を後からでも追加設置しやすいプランをご用意し、エレベーターのリニューアル時などにオススメしております。今後も安全機能の開発や普及に努めます」と、非常に心強いコメントを寄せてくれている。
万が一、エレベーター利用中に地震に遭遇した際は決してパニックにならず、フジテックのアドバイスを思い出してほしい。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
・合わせて読みたい→ボタン押さなかったエレベーター、閉まるまでの時間に驚き 現代人の8割が「倍以上」と誤解を…
(取材・文/しらべぇ編集部・秋山 はじめ 取材協力/フジテック)
対象:全国10代~60代男女975名 (有効回答数)