週末の旅行、「一日ずらし」が旅費削減の近道 実践すると6000円も節約に
【鈴木貴博『得する経済学』】週末を利用した一泊旅行。土日は割高になるものだが、「一日ずらし」を実現することでコストが大幅削減し…。
「うん。いい感じで安いね、今日は」
ETCのゲートで通行料金を自動音声が読み上げるたびにわたしはちょっとご機嫌です。
わたしは週末、旅行をするのが趣味です。最近は以前よりも長距離ドライブでの旅行が増えています。理由は今年買った車のオートパイロットの性能が良いため、長時間ドライブしても疲れなくなったからです。
さて、そんな週末旅行、わたしは土日ではなく一日ずらして日月で出かけることが多いのです。その一日の差でどんな良いこと(や悪いこと)があるのか、お得な経済学で比較してみたいと思います。
■週末のホテル代、平日と比べると結構割高
週末にちょっとした旅行に出かけたいのはわたしだけではなく、日本人全般の共通の気持ちです。仕事が終わったらリフレッシュしたいのです。でもみんながそう考えるので、多くの人の休みが重なる土日は旅行代金が割高になります。
東京から新東名で西に向かった日を例にとってお話ししましょう。名古屋のちょっとしたホテルの料金をヤフートラベルで調べると、一か月ぐらい先の予約なら土曜日は26,000円ですが日曜日宿泊なら18,000円とかなり値段が違います。
ちなみに金曜日に仕事を定時に切り上げて旅行をするのも人気です。そのため休前日も料金が高くなることが多いのですが、同じホテルで22,000円です。たまたまですが日、金、土の順で4,000円ずつ高くなっていきますね。そんな理由からわたしはスケジュールが許す場合には月曜日に休みをとって日月で週末旅行に出かけることにしています。
■高速代金は逆に週末がとてもお得
さて、その旅行ですが実は週末の方が安いものがあります。それが高速料金です。旅館やホテルは週末の方が割高ですが、高速道路は輸送用のトラックで混雑する平日の方が割高で、交通量が減る週末は逆に割引料金が設定されています。
具体的な数値を挙げれば、東京・大阪近郊を除くNEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本が管理する地方部の高速道路は、土日だと通行料金が30%引になります。土日のドライブ旅行であれば行きも帰りも割引になりますが、日月だと2日目は通常料金で週末よりも割高です。
要するに週末にドライブ旅行するか、一日ずらしてドライブ旅行するかは、経済的にはこの宿代と高速代の駆け引きになるというわけです。
■週末はアクティブに、月曜日はのんびりと
そこでわたしの計画した週末旅行の収支を確認してみましょう。基本コンセプトは「週末はアクティブに、月曜日はのんびりと」です。
日曜日の朝、家族で車に乗って東京を出発します。途中、浜松で高速道路を降りてお昼ご飯はゴージャスに鰻を楽しみます。一休みしたらふたたび高速に乗り京都へ向かいます。
京都ではふだん新幹線の旅行では出かけないような京都近郊の神社仏閣を巡ります。この日は京都の南側、宇治よりもさらに南にある石清水(いわしみず)八幡宮にお参りしたあと、桃山御陵近くの運河を散策します。京都市内のホテルから出かけると片道1時間かかる場所は、直接車で行ったほうが早かったりするものです。
京都は日帰り旅行扱いにして、この日はそのまま名古屋に戻って一泊します。日曜日料金なので土曜日に泊まるよりも宿泊代が8,000円もお得です。高速代も計算してみると平日料金なら約16,600円のところを休日料金適用でほぼ4,000円も安い。ずいぶん得した気分です。
■収支を計算するとやはり日月の旅行がお得
月曜日はチェックアウトまでホテルでゆっくり過ごし、その後、市内を軽くドライブします。わたしは生まれ育った場所が名古屋なので、いろいろと懐かしい場所がたくさんあるのです。そして午後、高速道路に乗って東京に戻ります。帰りは4時間ほどのドライブ。平日料金なので休日よりも高速料金が1,920円高いのは若干残念ですね。
さて合計してみましょう。土日の旅行と日月の旅行を比較すれば、ホテル代は安く月曜日の高速代は高いのですが合計してみたら約6,000円ほど安く上がりますね。経済を知っているとこんなところでも節約ができるんですよ。
■著者プロフィール
Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「ピークをずらす効果」をテーマにお届けしました。
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(文/鈴木貴博)