“クレイジーな”渋谷ハロウィンは終焉? コスプレイヤーの大半が外国人、「区長ごめんなさい」の声も…
一時はカオスの象徴だった「渋谷ハロウィン」。今年その現場に行ってみると、だいぶ状況は変わっていた。
■今年は28日土曜日が山場だった
ハロウィン目当てに若者、観光客が訪れるのは毎年10月最後の週末。今年は28日夜から29日にかけてがヤマだった。
周辺のクラブやDJバーではハロウィンを記念したナイトフェスが開催され、コスプレ着用での出入り、各店舗の移動が可能に。これら店に向かう客、さらには単純に自慢のコスプレを披露・撮影するため、渋谷センター街中心に多くの来場者が訪れるのが毎年の状況である。
しかし近年、来訪者数が急増していたため、渋谷区は路上飲酒の制限、さらにはナンパを含む立ち止まり行為について多くの警備員、警察官を動員して対策を講じてきた。さて今年は…。
■意外な様子の「渋谷センター街」
28日(土曜日)の夜、記者が渋谷センター街に到着すると、たしかに多くの人流はあったが、例年に比べるとだいぶ人が少なく、仮装する人については激減した印象。
トラブルが頻発した往時のクレイジーさはほぼ無く、見た範囲内ではじつに平和だったといえる。
道には数メートルごとに、屈強な警備員たち。強面民間警備会社で知られるBONDSの面々だ。彼らがにらみを利かせる中、飲酒や長時間の立ち止まりなどルールを破る者はほぼいないように見えた。
■外国人たちがコスプレを楽しむ空間に
とはいえ、コスプレは禁止されていないためコスプレイヤーがゼロになったわけではない。複数のコスプレイヤーを撮影したが、その約9割が外国人。日本人を探す方が難しいような状況だった。
国籍を尋ねると、アメリカ、イギリス、スペイン、ペルー、そしてウクライナと幅広く、一見日本人に見えても、韓国人や中国人で、とある白人男性は「ハロウィンを祝うため千葉から来た」とコメント。この後クラブに行くらしい。
中には店でもらったのか、ワインの空き瓶を持っていた外国人コスプレ女性もいたが路上でそれに口を付けることはなく、ルールを守り続けていた。普段は道端に座り込んで酒を飲む外国人観光客もよく目にするが、この日は皆無だったのが印象的だ。
■「区長さんゴメンなさい」
とある日本人のコスプレイヤーは「毎年“お祭り”なんで来ていますが、長時間の撮影対応しないようルールは守っています。少し楽しんだら帰宅する予定です」と話す。
別のコスプレイヤーは背中に「区長さんゴメンなさい」とのメッセージ。自信作のコスプレを披露しつつも、少しばかり心苦しさも覚えている様子だ。
センター街の脇道には制服姿の女性グループ。
チェキ(インスタントカメラ)撮影券とソフトドリンクを1つ300円で販売しており、外国人グループに声掛けしては一緒に記念撮影を行い数百円を貰っていた。目の前にある飲食店の女性スタッフのようでもちろん現役高校生ではないビジュアルだが、なんとも商魂たくましい。
■自主的に清掃する渋谷来訪者
また、裏通りにある宇田川交番前には、ドンキホーテや東急など渋谷に関係する企業らが協賛するゴミ捨てスポット。
ハロウィン参加者自ら掃除道具も無料で貸し出されており、「イベントの山が越えた早朝になると、自主的に街を掃除をしてくださる方々もいるんです。毎年恒例になっています」(現地のスタッフ)と状況を話す。
センター街にいた渋谷区在住の20代女性は「日本人で来ているのは、周辺のクラブに行く子か、記念撮影するためにコスプレ姿で来た地方の女の子だけじゃないか。数年前の盛り上がりは消えていて、だいぶ終わってますよ(笑)」とも話す。
一部のハロウィン客は新宿・歌舞伎町に移ったという情報もある。渋谷ハロウィンからは「過激さ」が消え、だいぶ秩序が取り戻されつつあるように見えた。
■執筆者プロフィール
キモカメコ佐藤:1982年東京生まれ。『sirabee』編集部取材担当デスク。
中学1年で物理部に入部して以降秋葉原に通い、大学卒業後は出版社経て2012年より秋葉原の情報マガジン『ラジ館』(後に『1UP』へ名称変更)編集記者。秋葉原の100店舗以上を取材し、『ねとらぼ』経て現職。コスプレ、メイドといったオタクジャンル、アキバカルチャーからスポーツまで精力的に取材しつつ、中年独身ひとり暮らしを謳歌する。
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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)