人間国宝級の超小型”だんじり”がネットで話題 部位のビフォーアフターに絶賛の声も…
ビフォーアフターの差が凄い。「だんじり」への熱烈な想いもそこには込められていた。
■いや、そうはならんやろ…!
ハッシュタグ「#これがこうなる選手権」と「材料はほぼほぼこれから始めます」とコメントを添え、画像を投稿したのは、X(旧・Twitter)ユーザーの織広堂@岸和田型ミニだんじり製作さん。
最初は薄い普通の木の板だが、次に指先レベルの小ささの龍が登場し、その後ミニチュアで作られたパーツが組み合わされた超絶精巧な山車の側面が出来上がっている。最後はミニだんじりが完成した画像も…すごい。
正直、国宝級のレベルだと思うほど、細かいところまでよくできていて「これがこうなる選手権」どころの話ではなく、「いや、そうはならんやろ…!」と叫びたくなる。
#これがこうなる選手権
材料はほぼほぼこれから始めます。 pic.twitter.com/a7J94f2z4R— 織広堂@岸和田型ミニだんじり製作 (@orihirodo) October 14, 2023
■「ものづくりの何たるやを考えさせられる」と大反響
この超絶技法でできたミニチュアだんじりに圧倒された声は数多く「スゴすぎる伝統工芸。ものづくりの何たるやを考えさせられます」「気が狂いそう それにしても細部まで作り込まれた技術には脱帽」「お美事すぎて実物拝見できたらずっと見ていられそう」と絶賛の声が上がっていた。
記者は、国宝級のミニチュアだんじりを制作した投稿者・織広堂さんを取材した!
■彫刻師の技術と魂が込められた「土呂幕」を製作
織広堂さんは以前にもsirabeeで取り上げて話題となった、ミニチュアだんじり作りの名手。前回の取材以降、明治・昭和・平成の名作と言われるだんじりをそれぞれ作成したという。
上写真の部位はトータル一週間程度で作ったもので、これはだんじり下部の一番大きな彫刻である「土呂幕(どろまく)」と言われる部分。昭和27年に岸和田にて製造され、名だんじりと誉れ高い「中之濱町」の土呂幕を再現している。
題材はあの有名な「本能寺の変」。右側に織田信長、左の馬乗り武者が明智光秀となっているそうなので、歴史好きにも刺さる作品である。ちなみに土呂幕はだんじり本体の評価を大きく左右する最重要部位。彫刻師の技術と魂が込められた部分だ。
「もし本物のだんじりを見る機会がありましたら一番注目していただきたい彫刻です」(織広堂さん)。
■だんじりの持つ格好良さをいかに再現するか
だんじり作りの中で一番こだわっているところは?
「『格好良さ』の再現です。姿形、彫刻から飾り付けられた装飾品まで、そのだんじりの持つ格好良さをいかに再現するか。特に彫刻は人物の表情などにまで拘って作成しています」(織広堂さん)。
だんじり作りのやりがいとは?
「そのだんじりを所有する町の関係者の方から褒めていただいた時です。目を輝かせてミニだんじりを眺める姿を拝見した時が一番苦労が報われ、やりがいを心から感じる瞬間です」(織広堂さん)。
また、そもそもだんじりをミニチュアで作るようになったきっかけを改めて伺うと…。
「岸和田で生まれ育った私は小さい頃からだんじりが好きでしたので、その頃から簡単なミニだんじりを作ったりして遊んでいました。その頃にいつか完全再現したミニだんじりを何台も並べて遊びたいと思い、その思いが衰えることなく現在まで続いた事がきっかけです」(織広堂さん)。
そのため、織広堂さんの作品は飾るだけでなく、ひっぱったり、旗など飾り物を取り替えたりして遊ぶ、プレイバリュー(遊び甲斐)も重視しているのだという。購入された方には是非子供の頃のように遊んでいただきたいと思っているそうだ。
小さい頃に抱いただんじりへの熱い想いを持ち続け、究極のミニだんじり作りに挑み続ける織広堂さん。これからも織広堂さんの作り出すミニだんじりを楽しみにしつつ、それをきっかけに本物のだんじりの素晴らしさも知っていきたい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・黒森ぬぬ)