実力と姿勢と心優しさ ベイスターズに戸柱恭孝が必要な理由【DeNA】
横浜DeNAベイスターズにとって貴重な存在である戸柱恭孝が、FA行使する可能性が。来年のチームの悲願達成のためにも、手放してはならないが…。
CSファーストステージでの敗退を受け、2023年シーズンが終了したベイスターズ。来季こそ頂点を極めるため、さっそく戦力を整える動きが出てきた。
■FA権獲得のキャッチャー
そこでシーズン中にFA権を獲得した石田健大に加え、戸柱恭孝の去就もポイントの1つとなっている。
2015年ドラフトでNTT西日本からドラフト4位指名でベイスターズに入団した戸柱は、当時のアレックス・ラミレス監督に抜擢され1年目から主戦捕手として活躍。18年と19年は出場機会を大幅に減らす時期もありながら、嶺井博希や伊藤光とともに長年チームを支え続けた。
またバッティング面ではルーキーイヤーの打率.226を超えることはなく、毎年2割前後を行ったり来たりだったこともあり、21年の終盤からイチからスイングの見直しを敢行。22年には72試合出場ながら打率.264、OPS.662とキャリアハイの数字を残すことに成功した。
23年も打率は.242と下げたが出塁率と長打率はアップさせ、OPS.690は70打数以上打席に立ったバッターではチーム6位、左バッターではチーム2位とバットでもキラリと光るものを見せた。
その貴重な存在の戸柱がFA行使を熟考中との報道が散見されている。球界でも希少な左打ちの捕手で、通算600試合出場と経験も豊富で、人的補償が不要なCランクで他球団が狙いやすい状況。
さらに今シーズンはピッチャーとの相性を重視する“専属捕手制”を採用したことと、山本祐大の急成長で終盤からスタメンでの出場が激減。8月22日から9月27日まで28試合連続でスタメンを外されたことで、出場機会を求めてFA宣言をしても不思議はない。
■たゆまぬ努力と人望
ただ近年のプロ野球のトレンドは、負担の大きいキャッチャーをひとりに固定することは少なく、山本祐大が大ブレイクを果たしたとは言え、シーズン最初からマスクを被り続けるとは考えにくい。経験豊富な伊藤光も今年で4年契約が終了することに加え、腰に爆弾を持ち、来年35歳とコンディション面にも不安が残る。
昨年のドラフト1位で球界一のプロスペクトの松尾汐恩を大抜擢するにしても、もうひとり信頼の置けるキャッチャーの存在は不可欠だろう。
三浦大輔監督も「ルーティンとして毎日早出で練習している」と野球に取り組む姿勢はお墨付きで、打ち込まれたピッチャーにはベンチで寄り添う姿はファンには有名。
またグラウンド外でも、昨年戦力外になった選手を食事に誘い、励ましながらメンタルケアを行うなどのエピソードも持つ。来年ベイスターズが悲願を達成するためにも、戸柱恭孝を手放してはならない。
■執筆者プロフィール
萩原孝弘:1971年生まれ。生まれも育ちも横浜の生粋のハマっ子で、大洋が横浜に移転して以来、一貫してホエールズ〜ベイスターズファン。
23年のオフィシャルイヤーブックもライターとして参加した。あくまでもファン目線で、独自のインタビューコラムや記事を各媒体で執筆中。
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(写真・取材・文/Sirabee 編集部・萩原孝弘)