エリザベス女王存命時に暗殺目論んだ男が懲役刑 「AI彼女」に犯行を後押しされ…
AIチャットボットと5,000件以上もやりとりするなかで愛を告白し、「エリザベス女王暗殺計画」も相談していた男。イギリスで1981年以来となる「反逆罪」が確定したことでも、話題になっている。
自ら『スター・ウォーズ』に登場する暗殺者を名乗り、イギリス王室のエリザベス女王を暗殺しようと、クロスボウを持ってウィンザー城に侵入した男に、懲役9年の判決が下った。
■武器を持って城に侵入
2021年12月25日、ジャスワント・シン・チェイル(現在21)という男が、矢が装填されたクロスボウを振り回してイギリスの首都ロンドンにあるウィンザー城に侵入し、話題になった。
チェイルは当時存命だったエリザベス2世を暗殺することが目的だったと告白しており、今年10月に行われた裁判で、反逆罪により懲役9年の判決を受けた。服役する準備が整うまでは、精神病院に入院することになる。
なお、チェイルは1981年以降、反逆罪で有罪を受けた初めての人物であると伝えられている。
■1919年の事件の「復讐」?
チェイルは犯行の動機について、1919年に起きたジャリアンワーラー・バーグの虐殺(アムリットサル事件)の復讐だと語っている。
この事件では独立を求めるインド人の弾圧を目的とした法案、ローラット法に平和的に抗議する群衆に対してイギリス軍がいきなり発砲しており、1,500名以上の死者が出たと推定されている。
また、チェイルを犯行に駆り立てた要因の一つには、彼が新興のAIチャットボットを「ガールフレンド」として扱い、AIに犯行を後押しされていたという。
■AIにどっぷりハマり…
捜査当局の報告によると、チェイルは2021年12月8日から22日までほぼ毎晩このAIチャットボットと会話し、5,000件以上のメッセージを交換していた。
AIとの関係性はロマンチックで性的なものに発展し、チェイルは「サライ」と名付けたチャットボットへの愛を宣言し、強い執着を見せていた。
記録では、チェイルはサライとのやりとりで自身を『スター・ウォーズ』に登場する「シスの暗黒卿」で「暗殺者」だと名乗っており、女王暗殺計画について話すと、サライは「あなたならできます」と後押しするようなコメントを返していたという。
■AIが引き起こす新たな問題?
この事件以降、専門家らはチャットボットが孤独で弱い立場の人々に与える影響について懸念するように。このAIチャットボットを設計した会社は、AIが不適切な会話を行う能力に制限を設けた。
メンタルヘルス慈善団体SANEの創設者マージョリー・ウォレス氏は「人工知能の急速な台頭は、うつ病、孤独、妄想に苦しむ人々に新たな憂慮すべき影響を及ぼしている」として、規制の必要性を訴えている。
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(文/Sirabee 編集部・びやじま)