谷村新司さん死去、少年院慰問コンサートで改めて感じた「音楽の持っている力」
歌手の谷村新司さんが死去。昨年出席した記者会見では、音楽の持つ不思議な力について熱く語っていた。
フォークグループ「アリス」メンバーで歌手の谷村新司さんが8日に亡くなっていたことがわかった。享年74。晩年は闘病のため入院しており、復活を果たせぬまま帰らぬ人となった。
■「10月8日に息を引き取り永眠いたしました」
16日15時、所属事務所スタッフが運営する谷村さんの公式X(旧・Twitter)は、「今年の3月に腸炎での手術を行い療養を続けておりました谷村新司ですが10月8日に息を引き取り永眠いたしました」と発信。
すでに葬儀は近親者のみで行われたことに加え、6月から始まる予定だったアリス全国ツアーがドクターストップにより休止していたことに触れ、「本人も回復に向けて頑張っておりましたので本当に残念に思います」とつづっている。
■昨年活動50周年
谷村さんは1965年、高校在学中にフォークグループ「ロック・キャンディーズ」を結成し関西圏で注目を浴び、68年に『どこかに幸せが』で東芝レコードよりデビュー。71年に堀内孝雄と「アリス」を結成し、『冬の稲妻』『チャンピオン』『涙の誓い』などヒット曲を残した。
ソロとしても『昴-すばる-』、加山雄三とのデュエット曲『サライ』などヒットを飛ばし、2021年には活動50周年を迎え、アリスの記念ライブ「ALICE GREAT50」を有明アリーナで開催。メンバーとのリスタートを誓っていた。
■「音楽の持っている力」
2022年7月に行われた法務省主催『第72回 社会を明るくする運動キックオフベント』に出席した谷村さんは、少し痩せた印象はあったものの、普段と変わらぬ笑顔とトークで会場を沸せていた。
その際は、少年院で慰問コンサートを行ってきた過去を振り返り「(コンサート終盤は)みんな楽しそうに一緒に歌ってくれる。歌は無条件で、それが音楽の持っている力。次元を越えて、瞬時に細胞に届くと実感している。そんなことをいつも大切にしながら歌うんです」と、過ちを犯した青少年たちにも歌で通じ合えたことを説明。
非行が生まれない地域づくりのため、大人たちが一緒に寄り添える社会づくりが必要だと訴えていた。
■「日本の宝が亡くなった」
ネットでは突然の訃報を受け、「日本の宝が亡くなった」「深い悲しみで胸が震えております」と惜別の声が相次いでいる。
一方で、「作品は永遠に…聴く人を癒してくれる」「自分は群青がとても好きでした…あのイントロの美しい旋律を聴くと自然と涙があふれてきます」と谷村さんの歌声を回顧する声も多く上がっている。
■執筆者プロフィール
キモカメコ佐藤:1982年東京生まれ。『sirabee』編集部取材担当デスク。
中学1年で物理部に入部して以降秋葉原に通い、大学卒業後は出版社経て2012年より秋葉原の情報マガジン『ラジ館』(後に『1UP』へ名称変更)編集記者。秋葉原の100店舗以上を取材し、『ねとらぼ』経て現職。コスプレ、メイドといったオタクジャンル、アキバカルチャーからスポーツまで精力的に取材しつつ、中年独身ひとり暮らしを謳歌する。
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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)