ストック画像で構成された偽会社が告発 ジェットエンジン部品を大手航空会社へ納品
大手航空会社に部品を納品していた会社が、偽造まみれと判明。各航空会社は、機体の点検のために運行を停止するはめになった。
イギリス・ロンドンを拠点とする航空機ジェットエンジン部品会社が、告発された。会社の従業員プロフィールはストック画像から作った偽造だったという。『DailyMail』が報道した。
■偽造まみれの会社と判明
イギリス・ロンドンを拠点とし、航空機のジェットエンジンの部品を販売するAOG Technics社が告発された。同社は2015年に、ホセ・アレハンドロ・サモラ・イララという人物によって設立されたと報告されている。
主にエアバスA320やボーイング737といった、輸送機に使用されるCFM56というジェットエンジンの部品を取り扱っていたそうだ。
ビジネスSNSのLinkedin(リンクトイン)の会社紹介には、最高顧問責任者のレイ・クォンという男性やアカウントマネージャーのマルティナ・スペンサーという女性の名前が記載されていた。
しかし、従業員プロフィールにはストック画像を使用しており、実在する人物ではないことが判明している。
オフィスはバッキンガム宮殿から徒歩圏と説明されていたが、実際には住所貸しの架空事務所だったことも判明。事業所登録では、2015年にイギリス南部にある個人宅が登記住所になっているのだそうだ。
■製造証明書に矛盾
AOG Technicsが初めて警告対象になったのは、TAPポルトガル航空の整備部門で受注したダンパー(空気流量制御弁)が証明内容よりも古い型式ではないかという指摘があったからだという。
調査の結果、同社が添付している航空宇宙部品に付帯すべき製造証明書の内容に矛盾のあるものが、全部で24枚見つかった。
航空エンジンメーカーのCFM Internationalによると、航空機部品の開発や製造には厳しい規定があるが、流通のための正式な許可は不要なのだという。
多くの小売業者は自己承認になっているため、規制当局による制度を設けるべきだと指摘している。
■国土交通省からも注意喚起
AOG Technicsがこれまでに販売した部品は、少なくとも126機のエンジンに装着されているとみられている。部品取引のあったデルタ航空やユナイテッド航空などは、機体の緊急整備を急いでいるという。
この不正疑惑については、日本の国土交通省も取引事業者向けに注意喚起を呼び掛ける文書を出した。
アメリカの航空業界では管制官の不足が深刻になっている中、緊急整備などの対応に伴い、フライト調整やキャンセルなどの別の問題を引き起こしているという。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)