激化するイスラエルとパレスチナの衝突 今中国は何を考えているか
ウクライナ戦争や台湾情勢に焦点が当たるなか、今後は中東情勢が激化。中東で存在力を強める中国は、今後仲裁などに出るのか。
■止まらない軍事衝突
パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスが10月7日あさ、イスラエルに向けて大量のロケット弾を発射。パレスチナ武装勢力の戦闘員らがパラシュートでイスラエル領内に侵入し、市民らが殺害されたり、拉致されパレスチナ領内に連行されたりしている。
イスラエル軍も即時の反撃し、パレスチナ領内の民家などあらゆるところに無差別攻撃が行われている。これまでの衝突では、兵士や市民含め双方で1,600人以上が犠牲になったとされる。
■中東で影響力を強める中国
これまで中東で紛争やテロが勃発すると、良くも悪くも米国の存在が大きかった。しかし、時代は変わり、今日の中東では中国が存在感を強めている。
今年春、中東の覇権を巡って長年対立してきたサウジアラビアとイランが7年ぶりに国交正常化を発表したが、中国はそこで仲裁役を担い、中東諸国に中国の存在感を強く示した。
中国はイランと政治、経済的にも友好関係にあったが、脱石油の経済多角化を進めるサウジアラビアは、近年経済面で中国に急接近を図ってきた。それが両国の緊張緩和に繋がったわけだが、今日のイスラエル・パレスチナ紛争について、中国は双方に自制を呼び掛けている。
■中国が行動に出る?
しかし、これは中国にとっては1つのチャンスともなる。
要は、サウジアラビアとイランの関係改善というのは中東各国にとって大きな動きだが、イスラエルとパレスチナの紛争でも中国が停戦や休戦で一役買うとなれば、中東における中国の存在感はさらに飛躍的に増すだろう。
米国はそれを嫌がるわけだが、中国は中東における存在感をさらにアピールするため、何かしらの行動に出る可能性もあろう。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)