石垣島の「台風の時を過ごすスタイル」にちょっとした変化? 昔と今の食べ物の違いとは
石垣島で台風のときに過ごすスタイルに、ちょっとした変化が?
■沖縄県内でも台風による被害が大きい地域
そんな沖縄県の中でも、台風による被害が大きい地域として、台湾に近い八重山諸島がある。たとえば諸島内でもっとも人口が多い石垣島は、台風が来ることが報じられると、ガラス窓や入口をネットで囲うなどの対策が行われる。
また、それ以外に石垣島特有の現象として、「台風が来るとカップラーメンとお酒が在庫切れになるぐらい売れる」ことが挙げられる。実際に記者が訪れたスーパーはどこも棚が空になっていて、関東に住んでいる人からすると「なんでこんなに売れるの!?」と驚いてしまうほどの売れ行きだった。
しかし、そんな石垣島の「台風でカップラーメンとお酒売れまくり現象」に、ちょっとした変化が起きているらしい。
■昔の台風のときの石垣島スタイル
昔は石垣島で台風のときに飲食されていたカップラーメンとお酒といえば、島内にいくつも蒸留所のある泡盛と、沖縄県では定番の金ちゃんヌードル。
観光会社の代表を務め、島内でYouTuberとして活躍する、石垣島生まれ石垣島育ちのヒデオマンさんによると
「この2つは前から鉄板で、昔は台風が来たらほぼ停電するので料理ができないため、常温の水で割った泡盛と金ちゃんヌードルがよく食べられてましたね。金ちゃんヌードル久しぶりに食べたけどめっちゃうまいですね!
あと、泡盛の常温水割りは今ではかなりハードコアな島人の飲み物になりましたね(笑)。もう相当な酒飲みじゃないと飲まないですけど、甘くないのでカップラーメンにはよく合う酒なのかもしれないです。とりあえず飲んで時間潰すにも良い組み合わせだったのかもしれません」
と語る。どうやらこれが「昔の台風のときの石垣島スタイル」らしい。
■今の台風のときの石垣島スタイル
次に見せてもらったのが「今の台風のときの石垣島スタイル」。現在は停電することも市街地ではほぼ無くなったので、冷えたビールも台風時に普通に飲めるようになったそうだ。また、カップラーメンもバリエーション豊富なものが島内で揃うようになったので、売り切れになる前に買えば金ちゃんヌードル以外にも自分好みのカップラーメンを選べるのだが、ヒデオマンさんは健康を意識して糖質オフのカップラーメンとビールをチョイス。
「やっぱり冷えたビール最高ですね! 糖質オフのお酒とカップラーメンのコンビなら台風で家にこもってるときに運動ができなくても罪悪感が薄れますし、電気ってありがたいですね(笑)
昔に比べると停電しないから冷蔵庫も使えてテレビも見れますし、だいぶ快適になったと思いますよ。糖質オフのカップラーメンとかビールは島で普通に見かけるようになりましたし、買う人も増えたと思います」
とのこと。確かに今でも外には出られないものの冷蔵庫のおかげで冷えたお酒を楽しめ、さらに普通のカップラーメンだけでなく、糖質オフのものなどを好きに選べ買えるぐらい流通が増えてテレビなどの娯楽も楽しめるのは、昔に比べるとだいぶ快適に過ごせるようになったのではないだろうか。
■「スマート系フード」を備蓄
ヒデオマンさんが飲食されていた糖質オフのカップラーメンやビールは、一般的に「スマート系フード」と呼ばれ、カロリーや糖質が低かったり、それだけで1日に必要な栄養素がたくさん摂取できる健康的な食品。
実際にヒデオマン家にも台風に向けてだろうか? 段ボールで備蓄されていたのだが、石垣島でスマート系フードが受け入れられている理由は、ただ健康的だから以外の理由もあると推測できる。
■石垣島で人気の沖縄料理
石垣島で人気の沖縄料理は本島のものと比べてかなりシンプルな味付けで、「昔ながらの健康沖縄料理」と言ったものが多い。とある食堂で提供された山羊そば定食は、山羊骨と塩だけで味付けされ、それに刺身が付いてくるのみのものなのだが、これがじつに美味しかった。
また、石垣島近海で獲れた新鮮な魚を泡盛と塩だけで味付けした「マース煮」も、島を代表する料理のひとつである。本島ではピザやハンバーガー、タコスにスパムなどアメリカの食文化に影響を受けた料理も多いが、石垣島は伝統的な食事がそれ以上に人気で健康を大事にしている人が多いため、そういった背景もあり台風で動けないときに低カロリーなスマート系フードが自然に選ばれていると予想できる。
石垣島ほど台風の多い地域は日本にあまり無いかもしれないが、休日になにもすることがなく外に出ないときに飲食するために買い置きしているものを糖質オフの飲み物や低カロリーの保存食をはじめとしたスマート系フードにすることで、普段から健康を意識した生活が送れるのかもしれない。
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(取材・文/Sirabee 編集部・熊田熊男)