舛添要一氏が内閣改造・自民党役員人事を斬る 「初入閣11人&女性入閣5人も“目玉がない”」
【舛添要一『国際政治の表と裏』】昨日発表された自民党の内閣改造。初入閣が11人にのぼり、女性閣僚は5人で過去最多に並ぶも「目玉がない」理由は…。
■外交・防衛は大丈夫か
外務大臣と防衛大臣を交代させたことは驚きであった。ウクライナ戦争、原発処理水海洋放出を巡る中国の反発など、外交、防衛については課題が山積している。
上川はハーバード大学出身の優秀な人材であるが、外交を担当するのに適しているかどうかには疑問符が付く。また、安全保障を専門の一つにしてきているが、木原稔が、浜田靖一のような重みがあるかどうかは不明である。おそらく、林・浜田のコンビのような安定感は期待できないであろう。
物価高対策、マイナンバー問題、少子化対策、防衛費増などの重要な政策課題についても、具体的な成果が上がらなければ、内閣改造の意味がなくなる。
また木原官房副長官は磯崎官房副長官と共に交代した。週刊誌などでスキャンダル報道が展開されたために、自ら身を引いたという。岸田首相にとっては、側近が不在となって戦力が低下することとなる。
■自民党総裁選と解散総選挙
派閥ごとに見ると、安倍派が4人、麻生派が4人、茂木派が3人、岸田派が2人、二階派が2人、谷垣グループが1人、無派閥が2人である。第4派閥にすぎない岸田派にしてみれば、より数の多い派閥、とりわけ安倍派の支援は不可欠である。
来年9月の総裁選を念頭に置けば、安倍派が会長も選べないという内紛状態であり、それは安倍派からは総裁選に出馬しないことを意味する。茂木が最大のライバルとなるが、茂木を閣内に閉じ込め、茂木派内のライバルである小渕を登用することで、茂木を牽制している。
さらに、解散をいつ断行するのか。刷新感のあまりない内閣改造では、解散は容易ではない。すべては、これからの内閣支持率次第である。
■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。
今週は、「自民党の内閣改造」をテーマにお届けしました。
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(文/舛添要一)