日本企業は対中ビジネスを中長期的視野で考えるべき リスク回避も利益

日本企業にとって中国はうま味のある国ではなくなっている。世界の工場の中国はすでに幻想だ。第三国への関与を急げ。

日本と中国の国旗

戦後、日本は高度経済成長とバブル経済を経験し、世界有数の経済大国へと上り詰めた。そして、その当時の中国の経済力は日本にはるか及ばず、日本は中国をODAなどで積極的に支援し、日本企業の進出が拡がっていった。


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■リスクの工場となる中国

安価な労働力で利益を得られる日本企業にとって中国はなくてはならない相手となり、中国も外資の参入で経済力をつけていった。その当時、日本と中国との間には相互利益の関係があり、互いがうま味を共有していた。

だが、中国は欧米や日本が望むような国家にはならなかった。欧米は中国が市場経済に上手く組み込まれ、米国とともに世界の安全保障や経済を主導していくことを望んでいたが、中国は米国主導の世界秩序に挑戦し、現状打破を図ろうとしている。

これが鮮明になるにつれ、米中の間では軋轢が拡がり、貿易摩擦、台湾、半導体と関係修復が不可逆的なところまで来ている。

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■中長期的視野での対中ビジネスを

こうなってくると、日本企業にとって中国は昔のようにうま味を共有できる相手ではなくなっている。最近も改正反スパイ法や日本産海産物の全面輸入停止など、中国に進出する、中国と取引がある企業にとってリスクが拡大するばかりだ。

いきなり中国撤退が進むわけではない。だが、日本企業の経営者たちは目先の利益だけを考えるのではなく、中長期的視野で対中ビジネスを考える必要があろう。これから日中関係は暗い時代に入ることは学術研究的にも間違いがない。

そういう環境下で安心してビジネスできるだろうか。インドやASEAN、アフリカなど代替できる国々は他にもある。日本企業は今まさに中国との向き合い方をリセットする時期に来ている。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

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