自衛官や車両は勝手に撮影していい? 街で自衛隊を見かけたときに気をつけたいこと

駐屯地や基地の周辺などで見かける自衛官や自衛隊車両。勝手に撮影したりSNSにアップしてもいい? 元自衛官が明かす自衛隊の事情とは…。

2023/08/04 06:00

日本の陸上自衛隊の軍事演習

自衛隊の基地や駐屯地の周辺、高速道路のサービスエリアで自衛官や自衛隊車両を目にする機会は多い。そのときに、自衛隊の写真を撮っていいのか、彼らに話しかけてもいいのかと思ったことはないだろうか。この疑問について、元自衛官の筆者が明らかにしていく。


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■広い道路やサービスエリアで見かける理由

自衛隊の車両には小型車両やバイクもあるが、基本的に中型以上の大きい車両が多い。また、小さな車両事故でも国民の信頼を大きく落としてしまう可能性があるため、駐屯地から近くの演習場でも基本的には大きい道を通ることが多い。

部隊の種類や規模によっては、自衛隊車両の数が多くなる場合がある。そのため、高速道路を利用する際には、一般の車両の駐車スペースを圧迫しないよう、広々としたサービスエリアを選んで利用するように配慮している。

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■手を振られると嬉しい?

自衛官が駐屯地を出て公の場に立つとき、彼らは自分たち一人ひとりの行動が、自衛隊全体の信頼性に直接影響を与えるという事実を理解している。このため、市民から突然声をかけられるなどの接触がある場合、それが時や場所、状況に適していないと感じる場合は反応を避けることがある。

とはいえ自衛官も人間であるので、手を振られたり感謝を伝えられると嬉しい気持ちになるのは事実である。筆者の部下だった隊員は「国民の方々から手を振られたり、笑顔や感謝を伝えられると、やりがいを感じ気が引き締まります」と語っていた。

自衛隊は国民との信頼と協力が重要な要素であり、市民からの支援や、感謝の表れとして手を振られると、それは自衛官にとって何よりも嬉しいことである。筆者も、手を振ってくれる子供たちに何度も癒された。


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■自衛隊車両を撮影してもいい?

自衛隊のイベントに参加した際、許可されたエリアにある車両を撮影することは問題なく、公道走行中やサービスエリアなどでの撮影も法的に問題はない。

しかし、災害派遣などの任務や訓練の場合もあるため、撮影する前に声をかけて許可を得たほうが望ましいだろう。中には存在を明らかにされてはいけない部隊や装備もあるため、注意が必要である。

また、自衛官個人については肖像権や保全などの問題もあるため、無許可での撮影は控えてほしい。ただし、民間への協力や理解促進、広報といった観点から記念撮影に応じることもあるため、念のため確認してもよいだろう。元自衛官の立場からすると、名札や階級章、部隊章などの個人が特定できるものは、ぼかしたり隠したりするよう配慮していただければ幸いだ。


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■SNSにアップするのは要注意

SNSを通じて情報収集することが日常となっている現在では、自衛隊の行動に関する情報は特に注意が必要である。

特に、大きな訓練の内容や任務に関する情報が含まれている投稿は、日本に敵対する国が喉から手が出るほど欲しい情報である。保全上、具体的にどういった情報が不都合か述べることすら控えたいが、大まかにぼかすと、車両や艦船、航空機の移動などに関する情報だ。専門の情報収集者なら、そこから自衛隊の装備や能力、任務を把握することも可能だからだ。

海自は潜水艦やイージス艦、空自はレーダーや地対空誘導弾、陸自は特殊部隊などの機密情報はSNSでも厳しく監視されており、関連する写真や動画が出回った時は、すぐに削除されている。

何気なく撮ってSNSにアップした写真が、日本の安全保障を脅かしたり、敵対国の片棒を担いでしまったりする可能性も決してゼロではない。自衛隊とコミュニケーションを取り、双方の納得のいく形で撮影や投稿を行ってもらいたい。


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■執筆者紹介

安丸仁史(やすまるひとし):1994年福岡生まれ、福岡育ち。防衛大学校(人文・社会科学専攻)中退後、西南学院大学文学部外国語学科卒業。 2017年陸上自衛隊に幹部候補生として入隊。

職種は普通科で、小銃小隊長や迫撃砲小隊長、通訳などを務める。元レンジャー教官。 現在は複数事業を経営。

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(取材・文/Sirabee 編集部・安丸仁史

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