「深夜の首都高」で格安ドライブする裏技 …を華麗に試そうとして大失敗した話

【鈴木貴博『得する経済学』】新車購入後にワクワクしながら深夜の首都高をぐるぐる。車好きなら一度はやりたくなるドライブだが、今回はそれを激安でやってみようとして失敗した悲しいお話。

2023/07/30 05:00

「あれれれ! 出口から出ちゃった! 大失敗」

首都高の深夜のドライブを激安で楽しむはずの「経済評論家お勧めのコース」ですが、見事に計画が破たんしてしまいました。評論家の机上のアイデアなんて実行するんじゃなかったと後悔の真っ最中です。自分のアイデアだったのですが…。

これは我が家に新車が納車された直後の出来事です。以前お話ししたアメリカのテスラがやってきたときに、居ても立っても居られない気持ちになって、イーロン・マスク自慢の自動運転技術とやらを試してみたくなったのです。

それで計画したのが深夜の「首都高周回240円」計画です。

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■現在、首都高は走行距離別料金に

昔は東京の首都高速は700円均一でした。ですから新宿から首都高にのって、都心の環状線をぐるぐると何回か回って新宿から出ても、当時は700円だったのです。それが昭和の時代の格安な首都高試し乗りコースでした。

ところがETCの時代になり、首都高も距離別料金が導入されたせいでこの技は使えなくなりました。新宿から入って一周して戻ると今だと860円かかることになります。まあ700円が860円に値上がりするぐらい、たいしたことがないといえばたいしたことがないのですが、実はもっといい裏技があるのです。

2015年に開通した「C2」と呼ばれる中央環状線ですが、新宿からほど近い初台南のインターから入ってわずか400m先の富ヶ谷出口から出れば最低料金の300円で首都高を走ることができます。

そしてここがポイントなのですが、初台南から入って、一周約60kmの中央環状線を一周して、そして初台南を通り過ぎて富ヶ谷から出ても、料金は同じく300円。しかも深夜0時を過ぎると深夜割引が適用されて、総額240円という格安の深夜のドライブが成立するのです。

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■一周「60km」回っても240円コースに出発

「これでいこう」

と完璧なプランを立てたうえで、ある日の深夜、時計が0時を回ったところでわたしは娘と一緒にテスラに乗り込んで家を出たのです。ちなみにわたしも娘も仕事で夜遅いので、これくらいの時間のスタートがちょうどいい。思いがけない深夜の冒険に出発することになりました。

それで冒頭のシーンです。

スタート前に地図をきちんと見ておかなかったのがいけないのです。中央環状線にはいって、「あとはC2の表示に従って中央環状線を一周ぐるぐるとまわれば大丈夫」と油断していたのですが、それが失敗のもとでした。中央環状線の表示が途中でなくなってしまったのです。


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■下調べ不足で途中で一般道に出てしまい…

実は中央環状線は途中、大井ジャンクションのところで一度湾岸線方面に入って、そのまま葛西ジャンクションまで走ってふたたび中央環状線に入ることになっているのですが、そんな予習をまったくせずにただ首都高に入ってしまったのが失敗の原因です。

湾岸線は別方向だと勘違いして通り過ぎたところ、次の大井南のところで「C2左」という表示が出たので、それに従って左のレーンに入ったら、そのまま首都高を出てしまったのでした。これは道を間違えて大井ジャンクションを通り過ぎてしまった人向けに「一般道からリカバリーしてC2に戻るには、大井南で出よ」という表示だったようです。

ここで若干パニックになったことで傷口が広がります。一般道を走りながら次の空港中央で首都高に乗り直してなんとか東京に戻ろうとしたのです。本当は横浜の大黒ふ頭まで行けばぐるりと戻れるのですが、無理をして川崎方面から戻ろうとしたら、東京に戻る道が途切れてしまいました。


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■結構走ったせいで予定外の出費に!

結局大師の出口で一般道に降りて、あとは産業道路、環七経由で一般道で自宅に戻ることになったのです。

首都高の料金は距離別なので、結局二度、ずいぶんな距離を走ったことになりました。計画では有料道路400m分を240円の格安料金で支払う旅の予定だったのですが、実際は新宿から羽田空港近辺まで首都高にのって、その先の入り口で乗り直して川崎駅近くまで…という首都高の長旅になってしまいました。

いやいや、お得を極める道は平たんではないことを思い知らされた深夜のドライブでした。


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■著者プロフィール

鈴木貴博

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。

今週は「首都高料金の裏技」についてお届けしました。

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(文/鈴木貴博

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