葬儀参列者に遺族が牛や米をプレゼント 亡母の信条「与えるほど恵まれる」を尊重
立派に育ち成功した子供たちが、大往生した母親の葬儀で貧しい人に牛を贈るなどして喜ばせた。
「人に与えれば、より多くの物が自分のもとに返ってくるの」と子供たちに教え育てた女性が、90代で死去。
その葬儀を執り行うにあたって、子供たちがユニークな企画を思いつき多くの人を喜ばせていたことを、『Thaiger』などタイのメディアが伝えた。
■女性の葬儀に多くの出席者
タイ・ブリーラム県で暮らしていたワンさんという女性が、92歳にしてこの世を去った。
さっそく葬儀の準備を開始したワンさんの子供たちは、1.5トンもの米を用意して出席者たちに差し出すことに。さらに5頭の牛を揃え、くじを当てた人に提供することにした。
これを知った多くの村人が葬儀に出席し、くじに挑戦。牛は4頭・1頭の2グループに分け、4頭については勤勉だが貧しい村人にくじを引かせ当選者に贈呈された。残る1頭については、配られた米袋に記された番号がマッチする人に贈ったそうだ。
■女性の教えを守った子供たち
7人の子を産み、立派に育て上げたワンさん。末の息子ジャクリットさん(57)によると、ワンさんは子供たちに対し「与えれば与えるほど、より多くの物に恵まれるものよ」と教えていたそうだ。
それを信じ育ったジャクリットさんたちは、仕事でも成功し豊かな暮らしを手に入れた。そこでジャクリットさんを含む子供5名は「母の教えに敬意を払おう」と考え、米や牛の提供を決めたという。
こうすることで、出席者たちがワンさんの名を忘れないでいてくれることを願ったのだ。
■牛をゲットした人の声
牛を手に入れた女性(50)は、「うちには牛が1頭しかいませんでした」「いただいた牛は、(すでに飼育している牛にとっても)良い仲間になるでしょう」とコメント。またこの牛はどんな状況に陥っても売却せず、大事に世話を続ける予定だという。
この女性はワンさんの葬儀に3晩にわたって出席し、「ワンさん、私に牛をお与えください」と祈ったとのこと。その願いが叶い、とても感謝していると話している。
ワンさんの教えを守り、困っている人のためにギフトを用意した遺族たち。最愛の母の死を乗り越えて幸せに暮らすことを、多くの人が願っている。
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(文/Sirabee 編集部・マローン 小原)