担任を殺そうと小1男児の母親が教室に乱入 「ADHDの息子を無視した」と激怒
「ADHDと診断されている6歳の息子が、ぞんざいに扱われている」と感じた母親は、担任教師への殺意を募らせた。そして授業中の教室に乱入し…。
授業中の小学校の教室に、ある児童の母親がいきなり乱入し、担任教師に向け銃を発砲した。今年1月にアメリカの小学校で起きた殺人未遂事件。
現場の惨状を目の当たりにした児童たちが、いまだトラウマを克服できずにいる中、裁判の準備は着々と進められている。
そんななか、被告である母親はメディアのインタビューで何を語ったのか。『USA TODAY』『CBS News』などが報じ、教育現場の悩ましい現状に波紋が広がっている。
■1年生の教室に男児の母親が乱入
事件は今年1月6日、バージニア州ニューポートニューズ市にあるリッチネック小学校の1年生の教室で発生。男子児童(6)の母親であるデジャ・テイラー被告(25)が、授業の真っ最中だったわが子の教室に乱入した。
被告は規制薬物の影響下にあり、担任教師のアビゲイル・ツワーナーさんに向け銃を放ち、手と胸に重傷を負わせた。ツワーナー教諭はいまだ治療を受けており、PTSD(心的外傷後ストレス障害)との闘いが続いている。
■「わが子をひどく扱っている」
4月の大陪審を経て、テイラー被告は今月5日、殺人罪、麻薬の乱用、虚偽の申告による銃の不法な購入と所持ほか、複数の罪状で正式に起訴された。規制薬物使用者の銃所有は禁じられているにもかかわらず、被告は2022年7月に銃を購入していた。
テイラー被告は少し前、ABC局の『グッドモーニング・アメリカ』に出演。犯行動機に関し、「ツワーナー先生がわが子をひどく扱っていることがわかり、怒りを覚えた」と話した。
■安易な注意が感情を刺激か
ツワーナー教諭は事件の少し前、「あの児童は周囲に中指を立てたり、地面に押し倒したりするなど、乱暴な言動がみられる。銃を所持している可能性もある」と教頭たちに相談。すると彼らはその母親を学校に呼び、注意と指導を行った。
ツワーナー教諭は、やや配慮に欠けたその対処方法が母親の感情を刺激し、殺意を誘発した可能性があるとして、教育委員会や学校を提訴。4,000万ドル(約55億7,000万円)の損害賠償を求めている。
■「実刑判決も覚悟している」
この事件の刑事裁判は8月15日に予定されているが、テイラー被告はメディアのインタビューで「息子はADHD(注意欠如・多動症発達障害)と診断されているので、なんら責任を負うことはありません」と話している。
また、懲役6年の実刑判決が下る可能性が高いと報じられていることに対しても、「これは私が親としてやったこと。喜んですべての刑事責任を負います」と話すなど、服役の覚悟はできている様子だ。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)