シンガポールで中国が本音を暴露 「台湾は核心的利益の中の核心だ」
先週金曜から3日間の日程でアジア安全保障会議が開催され、中国の国防大臣が台湾は核心の中の核心と米国や日本を強くけん制した。
中国の李尚福(り・しょうふく)国務委員兼国防相は4日、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議の席で、「台湾を独立させるような動きは絶対に許さない。台湾は中国にとって核心的利益中の核心であり、そのためには武力行使も選択肢だ」と参加した国々を驚かせた。
■核心的利益の中の核心?
びっくりさせたといっても、中国は長年同様の発言を繰り返しており、そこに新鮮さは全くない。
核心的利益とは、中国が諸外国に絶対に譲ることのできない利益であり、長年ウイグルやチベット、香港や台湾がそれに位置づけられてきた。
しかし、台湾は米中が軍事的に争う要衝となっており、今のウクライナの戦況では東部バフムトにあたり、また中国がほしい先端半導体関連で台湾は世界を牽引しており、習近平政権にとって台湾は政治経済的に譲れない、核心的利益の中の核心になっているのである。
■地雷を踏めば有事になる?
李尚福国務委員兼国防相は、台湾問題で最大限平和裏に統一を進めるよう努力をするが、これまで以上に米国に対して強気の態度に出ているように見える。
今回の会談でも、米国のオースティン国防長官は李国防相に直接会って話そうとラブコールを送ったが、理由は分からないが中国はそれを拒絶した。中国の台湾への決意は日に日に強くなっている。最近でも、中国軍は台湾海峡や南シナ海上空で米軍へ異常接近など威嚇的な行動を示しており、米国へのけん制を強めている。
台湾は世界にとって1つの地雷となりつつある。その地雷を踏めば米中間での戦争に発展するだけでなく、世界の半導体産業は壊滅的な影響を受け、世界経済の崩壊は避けられない。
今日、中国は“それでも台湾問題に踏み込むのですか”と世界の顔の色をうかがっているようだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)