衆院選めぐる問題で風雲急を告げる自公連立 4割は「自民単独政権」を希望
次回衆院選の10増10減に伴い、東京28区候補者擁立で自民・公明が対立。波紋は東京以外にも拡がっているが…。
1999年の第2次小渕恵三内閣に始まった自民党・公明党の連立政権。2009年に民主党(当時)を中心とした野党が勝利して下野した際も、公明党は民主党になびかず、2012年に政権復帰するまで野党にとどまった。
しかし、G7広島サミットが終了し、岸田政権の支持率も上昇傾向だった中、その蜜月に突然の激震が走った。
■衆院選候補をめぐり対立
一票の格差を是正するため、次回の衆院選は「10増10減」の新しい区割りで行なわれる。和歌山県や山口県など定数が削減となる地域での公認争いも熾烈だが、今回火種となったのは、議席が増える東京都の28区だ。
公明党は、東京28区で独自候補擁立を模索していたが、自民党との調整がまとまらず断念。その代わり、次回衆院選で東京都での選挙協力を行なわず、都議会でも協力しないことを発表した。
「1選挙区だけのこと」と受け流す向きもあるが、広島や埼玉など他県の選挙区に波及する恐れも出てきた。実際、与党の枠組みとして、世間はどのような形を望んでいるのだろうか。
■「自公連立」継続は2割
Sirabee編集部が、5月25〜26日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に与党の枠組みについて調査したところ、「自公連立の継続」を希望した人は、全体の24.2%。4人に1人とかなり少ない結果となった。
最も多かった回答は、自民党の単独政権で44.7%。公明党との連立より、「維新・国民民主党との連立」と答えた人は31.1%と自公派を上回っている。
支持母体である創価学会の構成から、庶民を意識し平和志向が強い公明党。保守派が望む政策との親和性だけでいえば、日本維新の会のほうが近しく感じるのかもしれない。
■中高年ほど単独政権
なお、今回の調査結果を年代別に見ると、特徴的な傾向も。自公連立継続を望む人が最も多かったのは10〜20代で35.1%。この世代では「自公派」が最多を占めた。この割合は年代が上がるごとに下がっていく。
一方、年齢が上がるほどに増えるのは、自民党単独政権を望む声。60代では56.7%に及んでいる。
20代以下では、自民党が単独政権を担っていた時代を知らない人も多く、安定感のある今の自公連立体制を支持しがちなのかもしれない。
ただ、ややバラまき型の公明党と保守派の自民党では、本来は政策の隔たりも大きく、選挙対策を別にすれば単独政権を理想とする人が多いのだろう。
■執筆者紹介
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)
・合わせて読みたい→自民党の派閥は機能しているのか? 「政策集団」に立ち返れるかが今後の焦点
(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)