米名門大学が学生の署名活動を受け中絶費用負担を決定 緊急避妊薬も無料で提供
以前から避妊具の無料提供を行なってきた大学が、中絶の権利をサポートする決断に踏み切った。
アメリカの名門ウェズリアン大学が、今秋から学生の人工妊娠中絶・緊急避妊費用を負担する方針を固めた。これは、同大学の民主社会主義クラブによる署名活動の結果によるものだという。
『NEW YORK POST』や『FOX NEWS』などの海外メディアが報じた。
■ランキング上位の大学
アメリカ・コネチカット州に本部を置くウェズリアン大学は、アメリカの大学ランキングでは常に最上位のグループに属す「名門大学」だ。
同大学の学生は、政治や社会問題に関心が高いというが、このほどキャンパス内の民主社会主義クラブの要望に応えて、大学が学生の妊娠中絶費用を負担することを決定した。
■以前から避妊具の無料提供
ウェズリアン大学では、以前から学生に避妊具を無料で提供していた。今回の決定で、緊急避妊薬の無料提供、キャンパス外での中絶費用の負担、そして術後の薬代の負担が新たに追加されることになった。
アメリカの一部の州では、中絶が事実上の禁止となっており、政治的論争の的となってきた。
ウェズリアン大学があるコネチカット州では中絶が合法とされており、大学の広報担当者は「全米で生殖の自由が脅かされている今、ウェズリアン大学は中絶を決断する際のサポートを学生に提供することに、力を注いでいきたい」と語っている。
■700人以上の署名
今回の決定に一役買った民主社会主義クラブは、学生の中絶費用負担を要求する嘆願書に、700人以上の署名を集めて大学に持ち込んだ。同大学の多くの学生が、今回の決定を喜んでいるという。
クラブのメンバーであるルビー・クラークさんは、「この新しい変更によって学生がサポートされていることを感じられた。これをきっかけに、多くの人がこの問題に興味を持つようになってほしい」と話した。
■73年後に覆った判決
アメリカでは、1973年に初めて女性の中絶の権利が認められたが、それから73年後の2022年にその権利が最高裁の判断によって覆され、中絶の権利に憲法上の保障が認められないことが決定した。
世論調査を行う企業のギャラップは、アメリカ人の中絶を支持する割合が、2021年の時点で80%であったと発表。それにも関わらず中絶の権利が脅かされていることに対して、多くの国民が異を唱えているという。
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(文/Sirabee 編集部・広江おと)