新入社員を褒めて育てる、意外な落とし穴が… 上司の「ひと言」が重要だった
昨今、新入社員を「褒めて育てる」ことが推奨されがち。褒める際に気を付けるべきことがあって…。
4月も半分以上が経過した。この春、新入社員が入社した会社も多いことだろう。社外研修を経て、各部署で新入社員と接する機会もあるのでは。
近年、新入社員を「褒めて育てる」ことが推奨されがちだが、「意外な落とし穴」が潜んでいて…。
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■「褒めて育てる」が重要視
「新人は1時間でも早く出社して仕事を覚えろ」「先輩の背中を見て学べ」──。会社で上司や先輩からこうした教育を受けた人もいるかもしれない。ただ、コンプライアンスが重視される昨今、部下への厳しい指導は避けられがちだ。
管理職という立場上、部下を教育することも多い40代のAさんは、最近の若手社員に対する指導法についてこう語る。
「管理職を対象にした研修では、部下を『褒めて伸ばす』よう教えられます。できるだけ、長所を見つけて言葉にして褒めるようにしています。新入社員を叱るのはもちろんですが、『自分で学ぶべき』と具体的な指導をしないものNGです。彼らが分かるまで丁寧に教えるよう心がけています」(Aさん)。
会社によって多少異なる部分はあるかもしれないが、Aさんのように、新人を「褒めて育てる」ことを重要視するところも多いことだろう。
■「職場の雰囲気も活性化」
部下を褒めて育てるメリットは、どんなところにあるのか。「英会話コーチング」を小学生から社会人に、傾愛力講座やセッションを保護者に行うなど幅広い世代とコミュニケーションをとる、 MCA達成&成功コーチング代表の福田美智江さんに話を聞いた。
「部下は褒められることで、認められた嬉しさがあります。それによって、褒めてくれる相手(上司)に対する信頼感が生まれます。部下からすれば、信頼に応えたいという気持ちから同じ行動を行う原動力になります」(福田さん)。
褒められることで、自発的な行動につながるのだろう。それによって、上司と部下の関係も向上するようで…。
「部下は褒められることで安心感が生まれ、上司に自分の話をし、活発なコミュニケーションにつながりやすくなります。本音で語れる関係性を築ければ、相乗効果や新しいアイディアに発展し、よりクリエイティブで生産性の高い環境の会社になるでしょう」(前出・福田さん)。
■褒めることには「落とし穴」が…
ただ、前出の福田さんは褒める際の言葉に注意が必要だと指摘する。
「褒め言葉の中に、無意識に『それができなければ褒めない』といったネガティブなメッセージが込められてしまうことがあります。部下の中には、褒められることにプレッシャーを感じる人も多いでしょう。また、褒められることに慣れることで、『褒められないと行動できない』という副作用を起こしてしまうことがあります」(前出・福田さん)。
例えば、規定のノルマを達成して上司から褒められた時、部下は嬉しいと思う反面、「次もこれくらい達成しないと評価されないのでは?」と重圧に感じることもあるということだ。
■「認める」ひと言をかける
部下を褒める際、どんな言葉をかければいいのか。前出の福田さんにこの疑問をぶつけたところ、「『褒める』ことを避けて、『認める』ことを推奨します」という答えが返ってきた。
詳しく聞いてみることにした。「『認める』というのは、部下が行ったことをそのまま、具体的に伝えていくことです。例えば、目標件数に届いていなくても『営業先を⚪︎件回ったんだね』と伝えることが『認める』ことになります。『認める』ことは受け入れるのではなく、受け止めることです。部下は、そんなふうに自分の行動を認められると安心感のもと、次の思考に移りやすくなります」(前出・福田さん)。
部下の努力を『認める』ひと言をかけることで、コミュニケーションも取りやすくなるという。「上司から『次はどんなふうにする?』と話を発展させたり、『ここ何回かは目標件数に届いてないね』とフィードバックを入れることもできます。もちろん、『今日のプレゼンは分かりやすかった』など、賞賛する事柄で認めるのも効果的です」(前出・福田さん)。
単に、褒めるのではなく、部下を認める言葉を添え、より良い人材が育つことを期待したい。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/MCA達成&成功コーチング・福田美智江さん)