「上級国民との分断」を感じる? 60代では9割近くが…
東池袋で起きた自動車暴走死傷事故でも大きな話題となった「上級国民」という言葉。こうした社会の分断を感じるか調べてみたら…。
総務省統計局が発表した2019年全国家計構造調査によれば、相対的貧困率を見るための「等価可処分所得のジニ係数」は、0.274で、2009年の0.283、2014年の0.281と比較して2連続で下落。
国際的にもG7各国の中では最も低く、「所得格差が小さい国」と言える状況だ。
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■池袋死傷事故で話題に
しかし、そうした数値とは裏腹に、非正規雇用の増大や経済の停滞などもあり、格差の実感は拡がっているようにも感じられる。
また、SNSの普及によって、自分と意見が近い人が集まり、違うクラスターとは分断が進むエコーチェンバー現象も。こうした背景もあってか、昨今しばしば耳にするのが「上級国民」というキーワードだ。
とくにこの言葉が多くの人の怒りに火をつけたのは、2019年に起きた東池袋自動車暴走死傷事故の際。飯塚幸三受刑者(当時87歳)が運転する自動車が暴走し、母子2人を含む計11人を死傷させた事故だ。
飯塚受刑者が現行犯逮捕されなかったこと、事故から書類送検まで約7ヶ月も要したことなどが、経済産業省の元官僚で工業技術院長などを務めたことと関係しているのではないか、と疑われ、「上級国民扱いだ」と批判が殺到した。
■8割が「上級国民と分断」
その後も、社会的な立場がある人が法に触れた場合、たびたびSNS上に氾濫する「上級国民」という言葉。実際、世間は「上級」とそれ以外の国民の分断をどれくらい感じているのだろうか。
Sirabee編集部が、3月27〜28日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に「日本は上級国民とそれ以外に分断されていると思うか」について調査したところ、全体の29.0%は「非常に分断されている」と回答。
「やや分断されている」との回答は50.7%と5割を超え、約8割が上級国民とそれ以外との分断を実感している状況が明らかとなった。
■上の世代ほど…
ややもすると陰謀論にも感じられる「上級国民」という考え方。どのような人が支持しているのか詳しく見てみると、意外な傾向も。
上級国民とそれ以外の分断を強く感じている人は年代が上がるほど増え、60代では9割に迫っている。若い世代でも少なくはないものの、40代までは「非常に分断」と答えた人は2割台だ。
必ずしも氷河期世代やZ世代など、バブル景気のような豊かな時代の恩恵に預かれなかった人たちがそう考えているわけではなさそうに見える。
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)