台湾有事めぐる緊張が4月上旬に高まる恐れ 中国の対応に注目
蔡英文総統とマッカーシー米下院議長がカリフォルニアで会談予定。中国は昨年夏のように大規模な軍事演習を行うか。
ここにきて、台湾をめぐる緊張が再び緊迫化しそうな予感だ。台湾政府は22日までに、蔡英文総統が29日から4月7日までの日程で中米グアテマラとベリーズを訪問した後、カリフォルニアで米国のマッカーシー米下院議長と会談すると明らかにした。
■マッカーシー米下院議長と会談
マッカーシー米下院議長が1月に台湾を訪問するニュースが流れたが、仮に実現すれば昨年8月はじめのときのように軍事的緊張が高まる恐れがあり、事前に台湾側が米国での会談を打診したとも言われる。
昨年夏、当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問した際、中国は台湾周辺での海域で異例の大規模軍事演習を行った。しかし、カリフォルニアでの会談でも、中国側がそれを好機と捉え、昨年夏のような規模で軍事的対抗措置をとってくる恐れもあろう。
■中国側も台湾有事見据えた準備
そして、中国側も着々と有事を想定した行動に着手している。
たとえば、台湾と海峡を挟んで隣接する福建省では、3月から台湾有事を想定した市民向けアプリの運用が始まった。台湾では昨年から防空壕の位置を発見できる退避アプリの運用が開始されたが、福建省政府も市民が防空壕や地下鉄駅構内などに避難できるよう、同アプリの活用を市民の間で広げようとしている。
習国家主席は最近開催された全人代でも、台湾統一を措置し、そのためには武力行使を辞さない構えを改めて強調している。福建省の今回の動きもこれに沿っているとみるべきだろう。4月上旬に中国側がどういった行動に出るか、今後の動向が懸念される。
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(取材・文/セレソン 田中)