これがハサミだと… 異色の傑作を生み出す若き天才が問うハサミと人間の在り方
魔術を施した様なクールなハサミがネットで話題。普通のハサミとは一線を画すパンキッシュな仕上がり。
最近は100円ショップでも買えるようになったハサミ。そんなハサミに感謝し供養するための「ハサミの日」があるのはご存知だろうか。毎年8月3日が語呂合わせで「ハ(8)サ(3)ミ」と読める所から美容家で国際美容協会会長・山野愛子氏が提唱して始めた試みで、当日は東京の増上寺で美容師などゆかりのある人々が参列し、法要が営まれる。
さて、ハサミといえばツイッターでは一風変わったカッコ良いハサミが話題となっている。
【話題のツイート】見るだけじゃない! 使っても納得の仕上がりを誇るハサミを見る
■珠玉の作品群を一挙に紹介
「私の世界へご案内します」とハッシュタグを付けた上で「至高のハサミを御覧ください」とツイートしたのは、ハサミ作家・佐藤聖也さん。佐藤さんは名前にもある通り、2021年に独立した新進気鋭のハサミ作家。
ツイートと同時に投稿された画像を見ると、今までに佐藤さんが制作したハサミ作品の数々がダイジェストで紹介されており、通常のハサミとは全く違うクールでスタイリッシュな作品が勢揃いしている。
■実用面でも配慮が施された作品
この投稿に「美しいものを見せていただきました」「機能美の中に高貴がありますね」など、佐藤さんの芸術的なハサミに心動かされた人々がコメントを寄せていた。
また、「親指がぐりっと回る仕様は普通に使いやすそうですね」と実用面に言及する声もあり、美術品としてだけでなく普段使いのハサミとしても注目が集まっている様子だ。
■ハサミの持つ二面性が人間の裏表と酷似
今回、快く取材を引き受けてくれた佐藤さんに話を聞いた。
カッコ良いハサミ達を製作する上でこだわっている点について聞いてみると「例えば『ハートの女王のハサミ』は嫌われるために描かれたようなハートの女王が、その唯一無二の個性と自我の強さから愛され憧れるキャラクターに昇華した様を作品にしました。 また『鮮やかな毒のハサミ』は鮮やかで危険な配色、毒の浸食を思わせるフォルムで触れてはいけないけれど美しいと思ってしまう人間の感性を表現しました」とのことで、1つ1つのハサミに物語を作り出しているよう。
佐藤さんを虜にするハサミの世界。その世界の魅力については「小さいころは正しく良いものにのみ人は惹かれると思っていました。 しかし、生きていて嫌な目にあったりしているうちに、善悪やら性欲やら悲しみも人の面白さで、それらは表現によって昇華されると感じました。 その中でハサミはほぼ全ての人に認知されており、凶器として大した性能も無いのに人を傷つけることに使われたり、テープを切っただけで道を切り開く祝いになったりと、面白いと感じる表現をより強くしてくれる、人の心に特別に作用する道具だと感じ表現媒体に選びました」とのことで、佐藤さん自身が語る深い世界観に感服してしまった。