胃腸薬と風邪薬はPB商品がおトク? ドラッグストアをはしごしてわかったこと
【鈴木貴博『得する経済学』】以前お話ししたように市販薬でもジェネリックがおトク。でもジェネリックを見つけづらい分野が存在しており…。
「あのう、このお薬はこっちのお薬とだいたい同じですか?」
最近、私がよくドラッグストアで薬剤師の方をつかまえて訊くのがこの質問です。
■市販薬のジェネリック
お医者さんの処方薬ではジェネリック製品を国が推奨しています。医薬品は化学品なので成分が同じなら安いジェネリック薬を使ってもらったほうが国の健保の財政も助かるというわけです。
以前の記事で書いたように家庭で使う市販薬もジェネリックの方が安いのですが、これが微妙に当てはまらない分野があるんです。風邪薬とか胃薬がそれで、有名メーカーの家庭薬はどれも微妙に成分のミックスが違っていて、ジェネリック含めて「どれとどれが同等品なのか?」が素人ではなかなかわからないんです。
■風邪薬はどのメーカー品も成分は様々
たとえば私は風邪薬は大正製薬のパブロンゴールドAという薬を愛用しています。一回3錠で一瓶210錠入り1,380円(税抜、以下同)ぐらいと量が多くて価格が手軽なのです。
大手ドラッグストアチェーンではどのチェーンでもPB(プライベートブランド)の市販薬を品揃えしています。そのPB商品が大衆薬とよく似た成分でも完全には同じ成分になっていないことが多いのです。そこで冒頭の質問をお店ですることになります。
「この新カンボーエース錠ってパブロンゴールドAとだいたい同じ効能でしょうか?」
これはサンドラッグでみつけた風邪薬です。ちなみにPB商品はwelcia(ウエルシア)だとハピコム、スギ薬局ではエスセレクトのようにPBブランド名がついているチェーンもありますが、サンドラッグの場合は正確にはPBではなく中小の医薬品メーカーが作る独自展開商品のようです。
■違いを教えて欲しければ薬剤師に訊こう!
このふたつの商品、成分表を見ると微妙に成分が違うのですが、薬剤師さんに訊くといろいろとわかるのです。
「くしゃみ、鼻水と頭痛の成分は同じですけれどカンボーエースは痰を出す成分としてブロムヘキシンを使っているのが違いですね」
このように教えてくれます。薬剤師さんははっきりと断言してくれるわけではないですが、どうやらほぼ同等品という感触でした。あくまで私の感想ですが。
新カンボーエース錠はパブロンゴールドAと同じく一回3錠、210錠入りで980円です。他のチェーンでは同等品が見つからないので、これはいいものを見つけたと思います。
■長年の暴食で弱った胃のために
風邪薬以上に「同等品」を見つけるのが難しいのが胃腸薬です。胃薬は本当に成分がさまざまなのです。
私は毎年人間ドックで胃カメラを飲んでいるのですがお医者さんの所見は、「あなたの胃、画像はきれいですが、胃は弱っていますね」というもので、確かに胃のもたれを食事をするたびに感じます。
それで一瓶2,080円の太田胃酸A錠(300錠入り)を愛用しているのですが、これもいいPB商品がないかと長年探していました。少なくとも私の近所の薬局では太田胃散の同等品は売っていないのです。
■ビンゴを名古屋で見つけた日
それをある日、出張先の名古屋で発見したのがこの商品です。東京では見かけない岐阜発祥のチェーン店・Drugユタカに入ったところ、「人気ナンバーワン」のPOPと一緒に太田胃散の隣に新クリエフ胃腸薬錠が置かれています。容量も同じ300錠。これはビンゴな気がします。
「すみません、この新クリエフはどの胃腸薬と似た効能なんですか?」と尋ねるとその場にいた薬剤師さんが、
「そうですね太田胃散Aと成分や効能は似ています。ただ新クリエフの方だけに入っている有効成分があって完全に同じというわけではないですね」と教えてくれました。
つまりITの世界で言う「上位互換」ということでしょうか。ちなみに新クリエフ胃腸薬は300錠入りで1,380円でした。
■著者プロフィール
Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。
今週は「薬局で売っている市販薬の買い方の話」続編です。
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(文/鈴木貴博)